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日光浴で栄養補給、ムカデミノウミウシ
 └─葛西  2009/02/06

 葛西臨海水族園の「東京の海」エリアにある、クマノミを展示している伊豆七島の水槽で、ムカデミノウミウシの展示を始めました。ムカデミノウミウシは房総半島以南の海域に生息しています。体長は7~8センチ程度。細長い体をしていて、体中にたくさんの「ミノ」をまとっています(写真)。

 ムカデミノウミウシが食べるのは、ヒドロ虫というイソギンチャクのような生きものです。ヒドロ虫は餌を捕まえたり、身を守ったりするために「刺胞」という毒針をもっていますが、ムカデミノウミウシの「ミノ」の中には、ヒドロ虫の刺胞がたくさん入っています。ムカデミノウミウシはヒドロ虫を食べ、その刺胞を利用して外敵から身を守るというわけです。

 水槽でムカデミノウミウシを観察してみると、じっとしていることが多く、ほとんど動きがありませんが、日なたぼっこは大好きなようです(写真)。

 ムカデミノウミウシがヒドロ虫から取り込んで利用するのは、刺胞だけではありません。ヒドロ虫の体内には「渦鞭毛藻」(うずべんもうそう)と呼ばれる藻類の一種が共生しています。ムカデミノウミウシはその渦鞭毛藻を体の中に取り込み、ミノの中で光合成をしてもらい、栄養補給をおこないます。

 ウミウシのなかまは、餌の確保の問題があるうえ、寿命の短さもあって、長期の展示が困難です。期間限定の展示ですが、葛西臨海水族園にぜひムカデミノウミウシを観に来てください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 橋本浩史〕

(2009年02月06日)



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