連日の猛暑の中、私はこのところ、時間を見つけては園内の貯木場に足を運んでいます。それは、年に一度、この季節にしか採れない“玉虫色”に輝くヤマトタマムシを採集し、昆虫園の「ふれあいコーナー」で展示するためなのです。
貯木場は、伐採した樹木が置いてある場所。多摩動物公園のアジア園内にあります。ヤマトタマムシの幼虫は、貯木状の樹木の内部で2~3年かけて成長し、7月から8月にかけて羽化します。また、産卵のためにやってくる成虫も見られます。
柄の長い網では採集しづらいので、ときどき下に降りてくるタマムシに狙いをさだめ、じっと木の下で待つ作戦をとっています。しかし、やっと目の前に飛んできてくれたというのに、足場が悪くて自分がバランスを崩したり、あせって捕虫網を空振りしてしまったり、いまだに1匹も採れていません……。
ほかの職員が採集してくれたヤマトタマムシを使って、展示は先月(2008年7月)から継続しておこなっていますが、自分で採らないと気がすみません。夏が終わるまでには、なんとか1匹でも採集するつもりです。
タマムシは、国宝「玉虫厨子」に使われたり、「タンスに入れておくと着物がふえる」と古くから言いならわされたりしている昆虫です。
タマムシ成虫の寿命は約1か月です。“玉虫色”に輝くヤマトタマムシを、ぜひお早めにごらんください。また、天気がよく、気温も高い日には、園内の貯木場にある大きな木を見上げると、飛んでいるタマムシを観察できるかもしれません。
〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 牧村さよ子〕
(2008年08月22日)
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