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砂がごはん? オオイカリナマコの食事
 └─葛西  2008/08/08

 アマモ(海の中に生える草)のなかまのリュウキュウスガモが青々と茂る、葛西臨海水族園の世界の海「インド洋」水槽を観察すると、何やら砂の上を、伸び縮みしながら、せわしなく動いている、茶色い縞模様のある細長い生き物に気がつきます。

 大きなミミズのなかまのようでもあり、その少しグロテスクなすがたを初めて目にする方は驚くかもしれません。この生き物は「オオイカリナマコ」というナマコのなかま。水槽にいるものは、伸びたときの長さが約50センチくらいですが、最大で体長が3メートルにもなる大型のナマコです。あたたかい海のサンゴ礁の砂原などに生息し、インド洋や太平洋に広く分布しています。

 オオイカリナマコの体表には小さなイカリ型をした骨片があり、そのため「イカリ」ナマコと呼ばれます。手で触るとこの骨片が刺さり、手に張りついて取り扱いに少し困ることがあります。

 水槽の中のオオイカリナマコを見ていると、前進する先端部分にはフサフサとした羽状の細長い花びらのようなものがあります。砂の上を進むときには、その花びらを盛んに波打たせながら、先端に開いた穴の中に花びらを一枚一枚順番に入れたり出したりしています。何をしているところでしょうか?

 じつは、花びらのようなものは触手と呼ばれ、これで餌を捕らえているのです。この触手で砂粒をからめ取り、口から体の中に取り込みます。そして砂の中の有機物を栄養として吸収し、不要な砂(汚れが取れて、きれいになった砂)を反対側にある肛門から外に出します。オオイカリナマコは自分では食事をしながらも、いわば水槽の中の陰の「掃除屋さん」として働いているのです。

※オオイカリナマコの動画を、東京ズーネットBBでごらんください!
 「うねうねうねうね、オオイカリナマコ」(2007年3月撮影)

〔葛西臨海水族園飼育展示係 笹沼伸一〕

(2008年08月08日)



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