ニュース
シリーズ井の頭自然文化園のカエル No.10
 ウシガエル
 └─井の頭 2008/08/01

 今回ご紹介するのは、井の頭自然文化園水生物館の人気者「ウシガエル」。特設展示室の円柱水槽で、岩の上にどっしりと座っている大きな姿はとても迫力があります。その姿を見ると、子どもたちだけでなく、大人の方からも「おぉ~!」と歓声があがります(写真上)。

 このウシガエルは、2005年8月に水生物館へやってきました。捕獲個体なので年齢はわかりませんが、来園当時、今とほとんど変わらない大きさだったようです。餌としておもにマウスを与えていますが、水槽にいっしょに入っているアメリカザリガニを食べることもあります。餌を食べた後は立派な糞をします(写真中)。アメリカザリガニを食べた後は、糞が赤くなるのですぐにわかります。

 昨年(2007年)、このウシガエルの左手の指に、小さな「こぶ」のようなものができました。この「こぶ」はしだいに大きくなり、指よりも大きくなってしまいました。獣医に「こぶ」の切除をしてもらい、しばらく入院させた後、無事、円柱水槽に戻って来ることができました。今では手術の跡もほとんどわからず、「こぶ」はきれいになくなりました。このウシガエルは特設展示「ずっとカエルとくらしたい」の会期中ごらんになれます。2008年8月31日まで。

 ウシガエルは約90年前に食用として日本へ持ち込まれ、野外へ広がりました。日本にすむカエルの中でもっとも大きくなり、大きな個体では体長が約18センチにもなります。その大きな口で、昆虫やザリガニ、他のカエルだけでなく、小型の哺乳類や鳥類、爬虫類まで食べ、生態系に大きな影響を与えています。そのため、特定外来生物に指定されており、許可なく飼育や移動・譲渡などをすることはできません。

 井の頭池にもウシガエルがすんでいて、「ヴォォォーヴォォー」という不気味な鳴き声が聞こえてくることがあります。たまに大きなウシガエルの姿を見かけることもありますが、小さなウシガエルやオタマジャクシを見かけたことは一度もありません。卵を産む場所やオタマジャクシが育つような場所がほとんどなく、オオクチバスとブルーギルがたくさんいるため、今の井の頭池はウシガエルにとって生活しにくい環境のようです。

〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 小木曽正造〕

(2008年08月01日)



ページトップへ