黄緑色で小さな体、かわいい、ゲッゲッと鳴く、「雨鳴き」する(雨の前に鳴く)──「カエル」というとき、多くの人がイメージするのはこのニホンアマガエルかもしれません。
春から夏の田んぼでとにかく目立つカエルです。一匹でも田んぼいっぱいに鳴き声が響きわたりますが、大合唱となると、ほかに何も聞こえないほどの大音量。そして畦を歩くと、右から左から、ピョンピョンと飛び出してくる露出度の高さ。
また、ほかのカエルにくらべて繁殖期間が長く、成体やオタマジャクシが田んぼで長いあいだ見られるのも特徴です。6月には田んぼの中を泳ぎまわるオタマジャクシが見られ、7月に入ると田んぼのまわりでピョコピョコと跳ぶ、体長1センチ以下の、小さな小さな上陸したてのカエルが見られます。
愛される理由の一つである体の黄緑色は、模様とともに茶色や灰色に変化します。カメレオンのようにコロコロ変わるわけではありませんが、その変化の幅は、日本にくらすほかのカエルの中では飛び抜けて高いようです。
日本にくらすカエルの多くが田んぼの乾田化(トラクターで耕しやすいよう、田を冬に乾燥させること)や、水路・小川のコンクリート化などが原因で数を減らしている中、ニホンアマガエルだけは全国各都道府県のレッドリストのどこにも載っていません。
繁殖期が田んぼに水が入っている時期と重なっているため、乾田化の影響を受けないこと、指に吸盤があり、垂直のコンクリート壁もへっちゃらなこと、また、日中、炎天下の自動販売機にアマガエルがはりついていて驚いたことがありますが、乾燥にも強いことなどから、たくましく生き残っているようです。
さて、9回目を迎えた「シリーズ井の頭自然文化園のカエル」。まだまだ続きます。水生物館で開催中の「ずっとカエルとくらしたい」は8月末まで開催中! 夏休みにカエルたちに会いにきてください。
〔井の頭自然文化園教育普及係 天野未知〕
(2008年07月25日)
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