葛西臨海水族園「深海の生物1」のコーナーは、薄暗くてなんだか時間が止まってしまったような動きのない世界ですが、ちょっとガマンして、水槽の底の方をじっと見てください。そこには変わったすがたをした深海の生き物たちがたくさんいます。
そのひとつが「キホウボウ」。とても変わったかたちをしていて、長く伸びた2本の口先をもち、その根元には口ひげのようなものが生えています。さらに、胸びれのそばにある足のようなひれすじを使って動いているようすは、まるで「歩いて」いるかのようです。
このひれすじは、じつは胸びれの一部なんです。「ひれ」は泳ぐために使われることが多い部位ですが、キホウボウのように海の底を歩くのに使う魚もいるのです。
このひげやひれすじには味蕾(みらい)という器官があり、深海という暗い海の底でえさを探すのにとても役立っています。
キホウボウのほかにも、このような口ひげやひれすじをもつ魚はほかにもたくさんいます。ためしにとなりの水槽をのぞいて見てください。胸びれのひれすじを使ってえさを探しているザラビクニンがすぐに見つかると思います。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 牧茂〕
(2008年07月18日)
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