ミズグモの飼育を始めてから2年がたちました。順調に繁殖を重ね、いまでは増え過ぎて困ることもあるほどです。安定した飼育の鍵は、餌の開発にあります。当初は、イトミミズとアカムシ(ユスリカの幼虫)をおもな餌として、ときにはボウフラやミジンコ、ミズムシなどを与えていました。
ところが、アカムシが手に入らなくなってしまい、イトミミズばかり与えていたところ、それでは餌として栄養に問題があるようで、ミズグモが食欲不振となり、死んでしまうことさえありました。そこで、新たな餌の開発が必要と考え、注目したのがミズムシです。
ミズムシは、有名な「足の水虫」とは無関係で、大きくなっても体長10ミリほどのダンゴムシやワラジムシなどと同じ等脚類です。水の中にすみ、水草の上を這い回ることから、水槽に入れておけばいいだけなので、餌やりが楽で、そのうえ栄養的にも問題ないようなので、とても適していたのです。
唯一の問題は、いろいろなところを探しても、一年中安定して充分な量を見つけることができない、あるいは、とても時間がかかったことです。ですから、ミズムシを養殖する決心をしました。そして工夫を重ね、ようやく安定して必要量を繁殖できるようになり、ミズグモ飼育も軌道に乗った、というわけです。
常設展示しているのは、おそらく世界でも井の頭自然文化園だけです。水槽の中のミズムシもお見逃しなく!
写真上:ミズグモ
写真下:ミズムシ
〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 荒井寛〕
※ミズグモ展示のきっかけとなったアニメーション映画「水グモもんもん」(2006年、宮崎駿監督作品)が、井の頭自然文化園の近くにある三鷹の森ジブリ美術館で上映されます。ミズグモが主人公の映画です。上映期間は、2008年7月2日(水)から7月31日(月)までです。
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(2008年06月27日)