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カエルの観察会をおこないました!
 └─東京動物園協会 2008/06/13

 6月から7月の梅雨の時期は、カエル観察には絶好のシーズン! 田んぼや川などの水辺には繁殖のために多くのカエルが集まり、卵やオタマジャクシも見られるからです。東京でカエルを見ることはとても難しくなってしまいましたが、野生のカエルの姿やカエルのくらす環境をみんなに見てもらいたい!と思い、東京都4園のカエルエキスパート(?)が集まり、「カエル観察会」を開催しました。今回はそのようすをご紹介しましょう。

 観察会は2008年6月7日と8日、五日市周辺でおこないました。参加者は各日20名です。カエルは種類によってくらす環境が異なり、また、繁殖時期がこの時期に集中してはいるものの、少しずつずれています。なるべく多くの種類を見ていただきたかったので、何回か下見をして絞り込んだ3か所を、徒歩でまわりながら観察しました。

 最初のポイントは田植えが始まった田んぼです。田んぼに近づく前に耳をすますと、トウキョウダルマガエルの鳴き声が──。波音のように大きくなったり小さくなったりする合唱にしばし聴き入ってから、いざ、田んぼへ!

 最初に発見したのは、メスをしっかりと抱いたツチガエルのオスです。田んぼの水草のあいだには卵塊も見つかりました。水路にはトウキョウダルマガエルの姿も。貫禄のある姿やジャンプ力に、参加者のみなさんも感動したようす。そして、青々とした稲の苗のあいだには、ニホンアマガエルのオタマジャクシがたくさん泳いでいました。カエルといえば田んぼ。しかし、田んぼは残っていてもトウキョウダルマガエルやツチガエルが見られる田んぼはとても少なくなってしまいました。田んぼやその周辺の環境を観察しながら、その理由を説明しました。

 次のポイントは、秋川の河原です。川沿いを移動中、「フィーフィーフィー」というカジカガエルの美しい鳴き声が聞こえ、河原ではそのカジカガエルの成体やオタマジャクシを探しました。オタマジャクシは川底の石のあいだにたくさん見られ、川でのくらしに適したペチャンコの体や吸盤状の口を観察しました。そして、なんと、声は聞こえど姿はなかなか見ることのできない成体も、運よく見ることができ、参加者全員で大喜び。その他、ちょうど変態中のヤマアカガエルのオタマジャクシや、魚のカジカ、ヘビトンボの幼虫などの水生昆虫も観察されました。

 最後のポイントはお寺の境内にある池です。この時期、池の上に張り出すモミジの枝にモリアオガエルの卵が見られるのです。探してみると……ありました! 白い泡状の卵塊が枝のあいだに20個ほど見られ、ちょうど産卵しているモリアオガエルの姿も! 参加者からは、こんなに木登り上手のカエルもいるんだ!という驚きの声があがりました。さらに偶然にも、境内の木のうろをすみかとしていたアズマヒキガエルを見つけることができ、結局、両日ともじつに7種類ものカエルを観察できました。

 4時間ほどをひたすら歩く、少々ハードな観察会となりましたが、運よく、さまざまな環境にくらす、いろいろなカエルを観察することができ、充実した観察会となりました。

 残念ながら、このようにカエルが観察できる場所は、東京にはほんのわずかしか残っていません。観察会の最後には、カエルの減った原因を紹介するとともに、減少するカエルのために私たちに何ができるのかを提案しました。この観察会が、カエルを守るために何ができるのかを考えるきっかけとなるよう願っています。

写真上:河原での観察
写真中:カエルを間近で観察
写真下:産卵中のモリアオガエル

〔井の頭自然文化園教育普及係 天野未知〕

(2008年06月13日)



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