ニュース
イソギンチャクを食べに行こう!
 └─葛西  2008/05/16

 みなさんはイソギンチャクはごぞんじのことと思います。やわらかい筒状の体から細長い触手をたくさん伸ばして、潮に揺られているアレです。色鮮やかなのでダイバーやアクアリストに意外な人気を誇っていますが、見た目のせいで、食欲をそそられる方は少ないのではないでしょうか?

 ところが、イソギンチャクを食用にする地域があるのです。葛西臨海水族園「世界の海」エリアの地中海の水槽には、スネークロックスアネモネが展示されています。透明感のある茶色い触手が美しいイソギンチャクですが、現地ではこのなかまを食用にしているそうです。いったい、どんなお味なのか。気になるところですよね。

 というわけで、食べましたよ、イソギンチャク! とはいえ、さすがに水槽で展示しているものを食べるわけにはいきませんし、食べたいとも思いませんので、イソギンチャクを食べさせてくれるという、とある九州郷土料理店に行ってきました。

 先輩の話では場所は銀座にあると聞き、少々ひるんだものの、気合を入れて万札をにぎりしめて行ってきました(泣)。階段を地下へ降り、店内に入ってみると、中はいたってアットホーム。こじんまりした居酒屋っぽい雰囲気で、まずはひと安心。

 このお店では、有明地方の郷土料理が自慢で、マテガイに似た二枚貝のアゲマキやら、エイリアン(?)のような顔立ちをしたワラスボのから揚げ、ムツゴロウなどもあります。いろいろな珍味に舌鼓を打ちつつ、しばらくすると、お目当てのイソギンチャクが登場です。

 小さな鉢にもりつけられたイソギンチャクの味噌煮は、見た目は灰色がかった茶色で、小粒な軟骨のしぐれ煮とでもいいましょうか。そのお味は、口に含むとコリッとした歯ざわりで、噛むと磯の香りがひろがり、あとからほどよい苦味が追いかけてくるような感じです。酒の肴にうってつけで、ついつい過ごしてしまいました。

 ちなみに、イソギンチャクは「ワケ」という名で出ています。興味のある方は一度トライしてみてはいかがでしょうか。姿と味のギャップを味わいながら園内をまわれば、また違った楽しみ方ができますよ。(注:食用になるのは一部のイソギンチャクのみです。)

〔葛西臨海水族園飼育展示課 飛田英一朗〕

(2008年05月16日)



ページトップへ