葛西臨海水族園、「世界の海」エリアの「地中海」水槽では、「バイオレットシーアーチン」という生物を展示しています。きれいな紫色をしたこの生物、何かの果物のようにも見えますが、これはウニのなかまです(写真)。
日本語に直訳すると、violet(バイオレット)=紫色、sea urchin(シーアーチン)=ウニなので「ムラサキウニ」となってしまいますが、お寿司屋さんで食べることのできる日本にすむムラサキウニとは別の種類です。先が白い紫色のトゲに覆われて丸々とした体は、水槽の中でもすぐに見つけることができるでしょう。
このバイオレットシーアーチン、ぜひ見てもらいたいのが体につけたその飾り。落ちている海藻の切れはしや、時には生きている巻貝まで乗っけていることがあります。
ウニのなかまは、トゲと別に、先が吸盤のようなかたちをした、「管足」と呼ばれる足をたくさんもっていて、この足とトゲを使っていろいろなものをくっつけることができるのです。とくにバイオレットシーアーチンは他のウニとくらべて飾りつけが好きなようで、何かをくっつけていない日はほとんどありません。生えているアマモをからめ取って、丸めてつけていることもありました。
なぜバイオレットシーアーチンは飾りつけが好きなのでしょうか。まわりにあるものを身につけることで自分の身を隠すためとか、食べきれない餌をとっておくためなどと言われています。でも、体の上にふさふさと飾りをくっつけているようすは、おシャレをしているようにも見え、「似合うじゃんそれ!」とほめてあげたくなります。みなさんもバイオレットシーアーチンを見つけて、じょうずにオシャレができていたら「今日も上出来だね!」とほめてあげてください。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 中沢純一〕
(2008年04月04日)
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