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トカラヤギの出産
 └─上野  2008/03/14

 もうすぐ開園60周年を迎える子ども動物園では、近年急速に減っている「在来家畜」を集めています。ウマは木曽馬、トカラ馬、野間馬の3種がそろいます。そして、ヤギも在来種のトカラヤギを増やします。

 トカラヤギは産地である鹿児島県のトカラ列島でも交雑が進み、純系が少なくなっているのが現状です。そんなトカラヤギを増やすべく、昨年(2007年)10月11日、飼育係が立ち会って、トカラヤギのユメ(メス)とゴハン(オス)を同居させました。

 妊娠の有無は、同居後に発情が来ないことと、お乳の張りで見分けます。初めのうちは妊娠しているかどうかはっきりしなかったのですが、2月上旬から急激にお乳が張り、これはお腹に赤ちゃんがいるな、と一安心し、出産の準備を進めていました。

 今まで子ども動物園では、お腹に赤ちゃんのいるヤギには、首輪に鈴をつけ、みなさんにお知らせしていたのですが、今回ユメちゃんはちょっと違うものをつけました。それは「マタニティーマーク」です。これは首都圏の鉄道各駅などでも配布しており、「つけている方を見かけたら、優しいお心づかいをお願いします」という意味をもつマークです。

 もちろん人間の妊産婦用のものですが、今回はユメにつけてもらい、このマークの存在を広く知っていただこうと考えました。来園した子どもたちも「おなかに赤ちゃんがいます」と書いてあるこのマークを見て、ユメのお腹をやさしくなでたり、お腹やお乳を観察したりしていました。誰もがユメにとてもやさしくしてくれました。マーク普及のお手伝いもできていたらと思います。

 そして今月(3月)7日、無事2頭の子ヤギが生まれました! トカラヤギの妊娠期間は 145日前後なので、ユメはほぼ予定通りの出産でした。

 1頭目が生まれたのは13時50分ごろ。メスでした。体重は 2,120グラムです。そして14時30分、今度はオスが生まれました。こちらは体重 2,080グラムでした。ユメは2年前(2006年)にも1頭出産していますが、今回もすばらしいお母さん振りを発揮しており、赤ちゃんを守るようにそばで休んだり、体をなめて排便をうなしたりしています。

 赤ちゃんヤギはお母さんのお乳をたくさん飲み、たくさん寝て、毎日すくすく育っています。生まれたばかりのときは垂れていた耳も、徐々にヤギらしく立ってきました。現在はヤギ舎の窓から、舎内で過ごすようすをごらんになれます(見られるのは12時~15時ですが、変更する場合もあります)。

 ピョンピョン飛び跳ねたり、お母さんのとなりでスヤスヤ寝たり……。とてもかわいらしい双子の子ヤギをぜひごらんにいらしてください。

写真:母親と2頭の赤ちゃん。母親の首にマタニティマーク

〔上野動物園子ども動物園 高橋美紀〕

(2008年03月14日)



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