ちょっと季節はずれな話ですが、夏の楽しい海水浴で、不意にチクッと刺されていやな思いをした経験はありませんか? たくさんの方が被害にあっているのではないでしょうか? 私もかならず刺されます……。その犯人は、クラゲです!
葛西臨海水族園内「東京の海」エリアの「実験展示コーナー」ではミズクラゲを展示しています。ミズクラゲは東京湾でもよく見られ、たまに岸に打ちあげられているのを目にします。水槽の前でも、「夏に海で泳いでいると、このクラゲに刺されて痛いのよねぇ」という会話をときどき耳にします。
しかし、クラゲは種類によって毒の強さもずいぶんちがいます。ミズクラゲの毒は、そんなに強くありません。刺されたときにチクッとして赤くはれてしまうほどの毒をもつクラゲは、アカクラゲやカツオノエボシ、アンドンクラゲが代表です。
クラゲの触手には「刺胞」(しほう)と呼ばれる、目に見えないほど小さい毒針があり、これをもつなかまのことを「刺胞動物」といいます。サンゴやイソギンチャクも刺胞動物です。
刺胞は、クラゲの餌である動物プランクトンを捕まえるためのものです。触手に触れたものを餌と見なして刺胞を発射し、毒によって麻痺させてしまいます。人間がうっかり触ってしまうと、チクッ!とやられてしまうわけです。
クラゲに注意するのも大変ですが、やっかいなことに、ちぎれてしまった触手に触れただけでも刺されてしまいます。夏の海水浴場にはたくさんの人が集まりますが、海はクラゲたちの棲む場所です。刺されてもクラゲのことを悪く思わないでくださいね。私は、今年も刺される気がします……。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 鈴木聡子〕
(2008年03月07日)
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