井の頭自然文化園の分園ではコクチョウを飼育していますが、昨年(2007年)10月、試験的に「点灯飼育」をおこないました。夜間も点灯し、日長が長くなるように調整し、産卵をうながしたのです。12月には2個産卵し、抱卵も見られましたが、残念ながら無精卵でした。
しかし、今まで産卵していなかったのに産んだということは、一歩前進したということです。もちろん点灯だけが原因ではないと思います。ペアがいちば好んでいると思われる場所に巣材を入れ、刺激を与えたことも産卵に結びつく要因の一つかもしれません。
2008年1月末、ふたたび点灯飼育をおこないました。前回の巣はコクチョウがバラバラにしてしまいましたが、野生では同じ場所に巣を作り直して産卵するといわれています。そこで、当初は古い巣材を散乱させたままにしていましたが、まだ産卵するには早いかなと思って片づけ始めたころ、交尾を確認しました。
そして2008年2月8日、前回の場所より少し離れた場所に産卵しました。新しい巣材を少しずつ与えてやると、巣らしく形を整えていき、雪の日もしっかり守っていました。
通常は4~6個の卵を産むので、これからいくつ産むかが楽しみです。また、今回こそは有精卵であることを願ってます。卵は抱卵が始まってから30日ほどで孵化します。
巣は園路の近くなので、卵を抱いているすがたがご覧になれると思います。そのときには、卵はいくつに増えているでしょうか。
〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 横田修〕
(2008年02月15日)
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