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幼虫から成虫まで観察できる昆虫生態園の冬
 └─多摩  2008/02/09

 成虫が飛んでいる生態園内に食草の植木鉢を置いて産卵させ、その植木鉢をチョウ飼育室に移して、羽化するまで育てる──これがチョウの飼育の基本パターンです。

 しかし、昆虫生態園内には、景観のための植物として、じかに植えつけてある食草や食樹もあります。たとえば、クワ科のガジュマル、オオイタビ、ハマイヌビワ(クワ科)、キョウチクトウ科のキョウチクトウ、マメ科のモクセンナなどです。

 冬になると、これらの植物上では、チョウの天敵となるハチ、アリ、寄生バチ、寄生バエ、クモなどが減るため、自然発生しているチョウが見られます。

 モクセンナにはタイワンキチョウとキチョウ、キョウチクトウにはツマムラサキマダラ、ガジュマルやオオイタビやハマイヌビワにはツマムラサキマダラとイシガケチョウなど、それぞれ卵、幼虫、蛹が見られます。

 じかに植栽してあるため、チョウの数をコントロールすることはできないのですが、こうしたチョウが新芽にしか産卵しないことを利用し、複数の株がある樹は剪定時期をずらし、丸裸になるのを防いでいます。

 多摩動物公園にご来園のおりには、これらの木の葉をそっと見て下さい。幼虫を見つける目安は、葉に残された食痕です。

〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 細井文雄〕

(2008年02月09日)



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