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冬のおにぎり!? 雪の日のチンパンジー
 └─多摩  2008/02/01

 2008年1月23日の朝のこと。放飼場に出たチンパンジーたちが「おにぎり」を食べていました。新開発の餌メニュー……ではなく、その正体は雪でした。この日、ひさびさに多摩動物公園にも雪がつもったのです。

 彼らは寒さが苦手。なのに屋根の下から足を踏み出し、指先や背中を丸め、体をぎゅっと小さくしながら雪の中を移動し、なぜか、いっせいに雪を食べるのです。ものすごく、おいしそうに……。

 「寒いんだからやめれば?」と言いたくなりますが、ヒトとはちがうということなのでしょうか。そこまでして食べたい雪の魅力って!? 見ているこっちも食べたくなるほど。謎は深まるばかりです。

 そもそも「おにぎり」と形容するにはわけがあります。単に雪を拾って食べているのではなく、たとえば、雪を少し集めて丸く握り、雪だるまを作る要領で転がしながら大きくします。それをぎゅっと握り固めてから、屋根におおわれたところに戻り、口いっぱいに頬ばりながら味わって食べるのです。そのすがたが、おにぎりを食べているようにしか見えません。

 個体によって作り方もちがうようで、さらに観察が必要です。とくに、何度も雪を経験している大人たちはおにぎりを握るのがうまく、子どもたちはそれを見てまねをします。おにぎり作りの技術はこうして継承されていくようです。

 ただし、思い思いのおにぎりを作って満足するまで食べるのはいいのですが、「体調だけはくずすなよ!」というのが担当者の本音です。

 多摩動物公園に雪がつもるような日には、隠れた冬の名物(?)、集団でおにぎりを作るチンパンジーを見にいらっしゃってはいかがでしょう。

写真上:ベロ(メス)38歳
写真下:雪を集めるベロ

〔多摩動物公園北園飼育展示課 木岡真一〕

(2008年02月01日)



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