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あのカップルはゴールインするのか!? トビヌメリへの期待
 └─葛西  2008/02/01

 2月、巷にさまざまな雑念をまき散らす、あの甘すぎる日が近づいてきました。そんな世間をよそに、私はあるカップルの成り行きを気にしています。それは、葛西臨海水族園「東京の海」エリアの「東京湾の漁業」水槽にいるトビヌメリ。

 名前はあまり知られていなくても、釣り人には意外になじみの深い魚です。キス釣りの外道でかかり、体がヌメヌメしていて嫌う人もいますが、江戸前の味「メゴチ」の天ぷらとして私たちの舌を楽しませてくれます。昨年(2007年)11月の東京ズーネットのニュース「ネズッポとコチを見比べてみよう」でも紹介していますので、ぜひごらんください(ニュースリンク)。

 現在、水槽にはトビヌメリのオスが2尾、メスが3尾います。まずはオスとメスを見わけてみましょう。背びれを広げたときに、ひれすじの一部が糸のように長く伸びているのがオスです。ひれの模様も違いますので、よく見くらべてみましょう。

 つぎに1尾ずつの動きに注目してください。3尾のメスのうち、1尾のお腹はとてもふくらんでおり、卵をもっていると思われます。このメスは水槽の底近くで泳いだり止まったりしながら、あちこちを悠々と動いています。他のメスは、水槽の片隅でじっとしているか、砂の中に潜っています。

 そのお腹の大きなメスに惹かれるように、スリスリと近づいてくるオスが1尾。メスの目の前に回り込み、背びれと尾びれを大きく広げてアピール。エラをふくらませて超アピール。さらにメスの頭上で円を描いて泳ぎ、猛アピール! メスも背びれを立ててこたえます。

 たぶん、みなさんにご覧いただけるのはここまでです。この後、2尾は頭と胸びれを合わせるようにして水面へと泳ぎ、産卵、ゴールイン!となるわけですが、トビヌメリの産卵は海では夕暮れ時におこなわれます。水槽でも閉園後の照明が消えて薄暗くなったころにおこなわれることでしょう。残念ながら、まだ産卵は確認されていませんが、かなりの期待をしつつ、私はこのカップルを見守っています。

 ちなみに、もう1尾のオスはというと、水槽の隅でときどき背びれを広げていますが、あまり積極的にアピールできないようです。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 金原功〕

(2008年02月01日)



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