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ツシマテンの来園と公開
 └─井の頭 2007/11/09

 ようやく秋らしくなってきた10月初旬、井の頭自然文化園にツシマテンがやってきました。ツシマテンはテンの亜種で、長崎県対馬だけに生息し、かつて対馬が本土とつながっていたときに島に渡ったテンが、その後隔離され、独自に進化したと考えられています。

 ツシマテンは1971年に国の天然記念物に指定され、環境省のレッドリストでは絶滅危惧種に指定されています。ホンドテンにくらべて毛の色は全体的に淡く、のどから胸にかけて黒い斑があるのが特徴です。

 来園したテンは今年(2007年)6月に対馬の民家で保護されました。発見時の体重はわずか 700グラム。生後まもない状態であり、現地で人工哺育によって育てられました。

 当園の動物病院で検疫を終え、テン舎の新しい部屋に移したところ、しばらくはびっくりして走り回っていましたが、そのうち巣箱をのぞいたり、置いてある丸太をかじったりし始めました。夕方にはお気に入りの麻袋の上で丸くなって寝ていました。餌は当園のホンドテンと同じで、リンゴ、煮たサツマイモ、バナナ、ブドウ、鶏頭、ドッグフード、煮干しですが、毎日きれいに平らげています。

 名前は「もみじ」。性別はメス。まだ子どもですが、これからツシマテンらしい毛色が見られるようになると思います。テン舎の展示室では、走り回ったり、丸くなって寝ていたりするようすがガラスごしに見られます。みなさん、ぜひ会いに来てください。

〔井の頭自然文化園飼育展示係 佐々木真己〕

(2007年11月9日)



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