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ツシマヤマネコを10月20日から公開!
 └─井の頭 2007/10/19

(2008年1月13日追記:現在、体調不良のため、展示を中止しています。)

 ツシマヤマネコは長崎県対馬だけに生息するネコ科動物で、1971年には国の天然記念物に、1994年には国内希少野生生物種に指定されました。約10万年前に大陸から渡ってきたと考えられ、東アジアから南アジアに広く分布するベンガルヤマネコの亜種とされています。

 体重3~5キログラム、体長50~60センチで、耳の裏に白斑があるのがイエネコとちがいます。1960年代の調査では250~300頭が生息しているとされていましたが、現在、野生では 80~110頭しかいないと推定されます。飼育下では、環境省対馬野生生物保護センターに12頭、福岡市動物園に17頭、井の頭自然文化園に2頭、よこはま動物園に2頭、計33頭が飼育されています。

 今回公開するのは、2002年4月9日に福岡市動物園で生まれた5歳のオスです。感染症や災害などの危険を分散するため、2006年11月19日、非公開を条件にメス1頭とともに井の頭自然文化園にやってきました。

 このオスは、来園時の体重が 4,700グラムで、検疫終了後、予備舎へ移動したときは 4,850グラムありました。ところが、2007年2月18日に検査のため麻酔をかけたときには3,900グラムしかなく、950グラムも減っていました。飼育方法に問題があったかと心配しましたが、繁殖期にかけて 1,000グラム前後の体重減少が認められることもあるとわかり、一安心しました。

 保護センターにいたときは、小石などでひとり遊びをしていたようですが、いま入っている予備舎は、床はコンクリート製ですし、遊び道具もありません。しかし、新居には、土、砂、プール、植物などがあるので、おもしろい行動が見られるかもしれません。

 飼育個体を公開することで、生息地である対馬の自然環境、および、ツシマヤマネコのおかれている現状を知っていただくのが狙いの一つです。また、井の頭での繁殖事業を目的に、保護センターからオス1頭、メス1頭があらたに来園し、非公開で飼育されることになりました。「ヤマネコ舎」では、ツシマヤマネコの生態や繁殖事業について紹介するパネル展示をおこないますので、ぜひごらんください。

ツシマヤマネコに関するニュース(2007年10月5日)

〔井の頭自然文化園飼育展示係 佐々木真一〕

(2007年10月19日)



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