2007年9月20日から22日まで、北海道でミズグモの調査と採集をおこないました。ミズグモは、国内では北海道で数か所の生息地が知られるものの、そのほかには青森、京都、大分、鹿児島のそれぞれ1か所から見つかった例があるだけの、非常に変わった分布の生き物です。
今回、調査をおこなったのは北海道の苫小牧です。いくつかの湿地や沼を回り、やっと最終日にミズグモを見つけることができました。見つけた場所は、周囲をガマに囲まれ、ヒメタヌキモ、エゾヒルムシロ、ヒツジグサ、イトモ、サジオモダカなどが群生し、マツモムシ、ミズムシ、コミズムシ、ヒメミズカマキリ、コオイムシ、ヤゴ類、モノアラガイ、ヒラマキミズマイマイ、エゾトミヨ、エゾホトケドジョウなどのほか、多数のクモ類が見られるすばらしい環境の湿地でした。
すみかとなる安定した大量の水草と食べ物となる多数の小さな生物が、ミズグモの生息環境として重要であることが実感できました。今回の調査で得られた情報をもとに、飼育や展示をより一層充実させていきたいと思います。
〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 荒井寛〕
(2007年09月28日)
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