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葛西臨海水族園で「ヤギ」を見よう!
 └─葛西  2007/08/10

 葛西臨海水族園では“ヤギ”を展示しています。ぜひご覧になってください。「水族園で“ヤギ”を飼うなんて、そんなバカな!」と思われた方、レベル1です。“ヤギ”といってまず思い浮かぶのは、メーメー鳴き、ひげをはやし、漢字では「山羊」と表記される動物でしょうね。たしかに、水族園で飼育するには違和感がありますね。

 「葛西には芝生広場があるから、そのあたりで飼い始めたのかな?」という方、レベル2です。芝生広場で飼えないこともないでしょうが、やっぱり不自然ですよね。

 「ああ、ウチワみたいなアレでしょう!」と気づいた方、おめでとうございます、レベル3です!(だからといって、なにもさしあげられませんよ)。

 水族館でヤギというと、サンゴやイソギンチャクなどと同じ刺胞動物のなかまです。岩場に彩りをそえるすがたは水中写真でもよく紹介されるので、一度や二度は目にされているのではないでしょうか。百聞は一見にしかず、実物をご覧ください。「ああ、これか!」と思うはずです(写真上:水槽全景)。これは、「世界の海」エリアの「南アフリカ沿岸」水槽のヤギのなかまですが、東京湾にもたくさんのヤギが生息しています。陸上の山羊と同じシロヤギという名のついたものや、アカヤギ、アオヤギなんていうものもいます。

 ところで、このヤギのなかま、動物なのでもちろん餌を捕えて食べます。枝状の体の表面をよく観察してください。細かいケバケバが見えることがあります。これは、イソギンチャクのようなすがたをした小さなポリプがプランクトンなどの餌を捕るために触手を開いている状態です(写真中:シニュアスシーファン、写真下:ポリプ)。

 ヤギ類のポリプは夜開いていることが多いのですが、昼間でもできるだけ多くの方にこのすがたをご覧いただけるよう工夫しています。ときどき、水槽の上の方から、長いスポイトで緑色の液体を吹きかけることがあります。これは、いろいろな餌をミキサーにかけた一種のスープです。吹きかけてしばらくすると、においを感じたポリプが徐々に開いていきます。このとき、ヤギがきれいに開いてくれると、飼育担当者はちょっとした花咲か爺さん気分です(いや、俺だけか?)。

 ヤギのなかまは水質や環境の変化に弱く、飼育が難しい生物です。いつでもきれいにポリプを開かせるまでには到達できていませんが、日夜努力を続けていますので、みなさんもぜひじっくりご覧ください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 飛田英一朗〕

写真上:水槽全景
写真中:シニュアスシーファン
写真下:ポリプ

(2007年8月10日)



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