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アフリカゾウと餌入り遊具
 └─多摩  2007/07/27
 野生のゾウは1日に18時間くらい餌を食べていると言われており、活動時間の大半を、餌を探したり食べたりすることに費やします。

 しかし、動物園のゾウは餌を探す必要がありません。また、食べている餌も、野生環境より栄養が豊富なので、ずっと食べ続けているとどんどん太ってしまいます。太りすぎは病気を引き起こしたり、足を痛めたりする恐れがあるので、餌の量を制限しなくてはなりません。

 ところが、餌を食べる時間が短くなると、ゾウはひまを持て余すことになります。動物園でゾウが首を振っているところを見たことがある方も多いかと思います。これは、ゾウが時間を持て余しているために起こす行動なのです。また、ゾウが運動場の赤い火山礫(かざんれき)を食べて便秘になったこともあります。

 そこで多摩動物公園では、ゾウが退屈しないよう、いろいろな工夫をしています。そのひとつが、アフリカゾウの運動場にある六角柱の形をした遊具です。これは中が空洞になっており、直径2センチほどの穴がたくさんあいています。ゾウがこれを転がすと、中に入れてあった餌が出てくるようになっています。

 入れる餌は、ペレットや落花生、ニンジンやサツマイモを細かく切ったもの。穴から餌が簡単に出てこないよう、餌の大きさを調整しています。これで、ゾウが餌をすっかり取り出すまで時間がかかるわけです。中に入っている餌はゾウの好物ばかりなので熱心に取り出そうとします。

 この遊具の重さは約70キログラム。人間にとって動かすのは一苦労ですが、ゾウたちは鼻や足を使って軽々と転がしています。餌は毎朝入れていますが、ゾウが熱心に使うため、11時ごろにはほとんどなくなってしまいます。転がしているようすをごらんになりたいかたは、ぜひ朝いちばんににアフリカゾウ舎まで足をお運びください。

〔多摩動物公園北園飼育展示係 櫻井佑子〕

写真上:遊具を転がすマコ
写真下:遊具から出たペレットを食べるアイ

(2007年7月27日)



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