葛西臨海水族園の「世界の海」エリア、その最初の水槽「カナダ沿岸」ではスレンダーケルプクラブを展示しています。耳慣れない横文字の名前ですが、「クラブ」と呼ばれるとおり、カニのなかまです。
水槽の中をよく探してみてください。岩の上や海藻の下などに、岩と同じような体色をした、脚の細長いカニが見つけられたでしょうか? 体には水槽に生えている海藻の切れ端がついていて、まわりの景観に溶け込んでいるため、なかなか気がつかないかもしれません。まさしく、スレンダー(細身の)+ケルブ(海藻)+クラブ(カニ)なのです。
スレンダーケルプクラブは、アリューシャン諸島からアラスカ、カリフォルニアまでの、比較的に冷たい海にくらすクモガニのなかまで、アマモ場やコンブのなかまの海藻が茂る岩礁域にくらしています。甲羅の大きさは幅が3~4センチくらいで比較的小型のカニですが、クモガニのなかまには、世界最大のカニ、タカアシガニなども含まれます。
水槽のスレンダーケルプクラブは、赤く見える紅藻のなかまをハサミで小さくちぎって体にはりつけています。身近に生えている海藻でオシャレをしながら、敵などに見つからないようカモフラージュしているのです。この少し変わった方法で身を守るスレンダーケルプクラブの変装のようすを、葛西臨海水族園でぜひごらんください。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 笹沼伸一〕
(2007年7月13日)
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