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フェアリーペンギンの巣立ち日は何によって決まるか
 └─葛西  2007/07/06
 葛西臨海水族園では、2007年6月20日に続いて、6月30日もフェアリーペンギンのひなが巣立ちました。1羽目のひなの巣立ちは孵化から63日目でしたが、2羽目は52日目で、11日も早い巣立ちとなりました。じつは、この日数の差は、両親にとって大きなちがいなのです。

 フェアリーペンギンは生後約1か月で親の大きさを超えてしまいます。両親はその後、自分より大きくなったひなを育てなければなりません。

 巣立ち時期は、ひなの体重の変化ととても強い関係があります。一般に海鳥のひなは、体重がピークに達した後、減少してから巣立ちます。ひなはできるだけ大きく成長して巣立つ方が、その後の生き残りに有利です。一方、両親は早めに子育てを切り上げた方が、重労働から解放され、自分の生存のリスクを減らすために有利です。

 ひなは、少しでも大きくなろうと、両親の給餌を巣穴の中で待ち続けるのですが、両親は途中から給餌量を減らしていくので、体重が減少し始めます。そこでひなは、生き残るために不利にならないよう、体力がさらに低下する前に巣立つわけです。

 今回、1羽目のひなの体重のピークは55日目、2羽目はさらに半月早い40日目で、ともに約 1.3キログラムでした。それを境に体重は減少し始め、上記のとおり、63日目と52日目で巣立ったわけです。なお、巣立ったときの体重は、どちらも約1キログラムでした。

 野生のフェアリーペンギンは、孵化後48~63日目に巣立つと報告されています。やはり子育てのじょうずな両親とへたな両親がいるようです。

 なお、巣立った子どもは、自分で魚を食べるための訓練を飼育室でしています。訓練が終了しだい、ひなたちは展示場にお目見えする予定です。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 福田道雄〕

(2007年7月6日)



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