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ヤリイカとスルメイカを展示──葛西 2007/03/23

 葛西臨海水族園では、「深海の生物」コーナーの3番目の水槽に、ヤリイカとスルメイカを展示しました。え?ヤリイカって深海の生き物なの?と疑問に思うかもしれません。この2種のイカは、すしネタ、お刺身、干物など、イカの代名詞といえるくらい水産物として広く一般に知られていますが、生きたヤリイカ、スルメイカをごらんになったことは少ないのではないでしょうか。

 かれらは通常、関東周辺では水深 200メートル付近の深海に生息しています。甲殻類や魚類を食べ、群れで行動します。繁殖期になると浅いところに移動して産卵するため、スキューバダイビングで目撃されることも少なくありません。

 今回、ヤリイカを展示するために、三浦半島沖で釣りによる採集をおこないました。水深100~180メートル付近の海中まで疑似餌(イカヅノ)をおろします。イカがかかると、ゆっくりと、そして疑似餌からはずれないように慎重にリールを巻き取り、釣りあげていきます。魚を釣るのとはちょっとちがい、イカが釣れたときのアタリの取り方や疑似餌の誘い方などは独特で、なれるまで苦労しました。

 丸一日釣りをして、20尾あまりのイカを採集することができました。展示水槽に入れると最初はヤリイカ、スルメイカそれぞれで群れを作りました。ヤリイカは規則正しい状態であまり動き回らず、スルメイカはまとまりつつもばらばらの方向を向いています。そして群れを作って泳ぐすがたはとても美しく、そして幻想的です。現在、2種は混ざった状態で泳いでいます。ぜひ、この美しいイカたちを見に、葛西臨海水族園においでください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 中村浩司〕

写真:ヤリイカ

(2007年3月23日)



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