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気になる恋のゆくえ、ナメモンガラ
 ──葛西 2007/02/16

 今年のバレンタインデーはいかがでしたか? 今、葛西臨海水族園にも、ちょっと気になるカップルがいます。それは、「東京の海」エリアの「伊豆七島の海4」水槽にいるナメモンガラという魚です。

 現在、オス1尾とメス1尾を展示中。ナメモンガラはオスとメスの色がはっきりちがいます。尾びれが赤いのがオスで、メスはオレンジ色をしています。このところ、この2尾のようすがアヤシイのです。

 体の色がやや白っぽく変化したオスは、しきりにメスのまわりをぐるぐると泳ぎ、砂を掘るしぐさをしています。メスもオスに寄り添い、いっしょに泳ぐものの、しばらくすると逃げてしまいます。これは明らかに繁殖行動の一部なのですが、メスの方がいまひとつ乗り気ではない、という感じです。

 このナメモンガラ、日本近海では伊豆諸島、小笠原諸島、沖縄周辺に生息しています。とくに八丈島や三宅島周辺ではよく見られる魚です。水槽の中では、あたりを用心深く観察しているかのように、目をきょろきょろさせながら泳ぎまわっています。かたちがちょっとユニーク。頭には太いトゲのある背びれがあります。このトゲは器用に立てたりたたんだりすることができて、とても便利。そして、敵におそわれそうになると、穴の中や岩のかげなどに隠れて背びれを立て、トゲをつっかえ棒にして引っ張り出されないようにします。水槽内の岩かげで背びれのトゲを立て、流されないように休んでいるところも観察されています。

 2尾がこの水槽で同居を始めたのは2006年12月の初めです。今後、繁殖ができるように水槽の環境を整え、このカップルを見守っていくつもりです。飼育係の親心というべきか、水槽内での産卵を楽しみにしています。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 細野潤子〕

(2007年2月16日)



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