昨年(2006年)6月16日、多摩動物公園でアムールトラのメスが生まれました。トリノオリンピックで金メダルを獲得した荒川静香選手にちなんで、「シズカ」と命名しました。シズカという名前をもらっても、おしとやかとはいかず、元気いっぱいに育っています。
母親のアシリは7歳で、りっぱな大人なのですが、ふだんから遊ぶのが大好きです。その遺伝子をうけついだシズカも、とにかく遊ぶのが大大大好き! 放飼場に出すと、シズカは母親に飛びかかったりしながら、飽きることなく遊んでいます。
放飼場は自然な景観をたいせつにしており、植物をふんだんに植え、獣道を作るようにして、トラたちにとって自然な刺激をあたえるようにしています。ですから、放飼場には人工的な遊具は置いてありません。
そのぶん、室内用にさまざまな遊具を準備し、数日ごとにちがう種類の遊具をあたえています。ただし、残念なことにオスのビクトル(9歳)はとても冷めていて、遊具をあたえても、ほとんど遊んでくれません。
おなじ大人の個体でも、アシリは遊具が大好きで、よく遊んでいます。子どものシズカが遊んでいると、アシリは離れた場所でながめていますが、自分もあとでこっそり遊んでいるようです。
遊びざかりのシズカは、もちろん遊具が大好きです。最近のお気に入りは、部屋の中にぶら下げられたロープや麻袋。束ねたロープや麻袋を、天井からロープで吊るし、そのロープに引き綱をつけ、観覧通路の手すりに結びつけてあります。お客さんがこの引き綱を引くと遊具が動き、トラを誘うことができます。
動いている遊具を見ると、シズカはがまんできず、飛びついてきます。引き綱を持っていると、ロープに力が伝わり、トラの力を実感することができます。でも、アシリが飛びついてきたら要注意! 大きな衝撃が来るので、手を離した方が無難です。
初めてこの遊具を試してみたときのシズカの反応を、携帯電話のビデオカメラ機能で撮影してみました。下のリンクをごらんください。初めて体験する遊具なので、シズカは活発に反応しています。
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シズカの動画はこちら(QuickTime、約1分、7.8MB)
(QuickTime Playerの無償ダウンロードは
こちらから↓)
この遊具は、いつも設置しているわけではありません。それに、ネコ科の動物は飽きっぽいので、かならず遊んでくれるとはかぎりません。アムールトラの室内展示場で運よくこの遊具を見つけたら、ぜひ挑戦してみてください。
〔多摩動物公園南園飼育展示係 熊谷岳〕
※写真はアシリ
(2007年1月19日)