ニュース
ペッカリーとバイソンの同居──上野 2006/08/18
 以前のニュースでお知らせしたとおり、今年(2006年)3月、伊豆シャボテン公園から上野動物園にクビワペッカリーのメス3頭がやってきました。2006年7月31日から、この3頭をアメリカバイソン1頭と同じ放飼場に出しています。

 アメリカバイソンは北アメリカ大陸の平原でくらす動物。バイソンの放飼場の「前景」には、同じく北米平原に分布するオグロプレーリードッグたちがいます(プレーリードッグとバイソンの展示場はつながっていません)。

 ペッカリーはイノシシに似た偶蹄類ペッカリー科の動物(イノシシはイノシシ科)。背中に油状の分泌腺をもっていて、それを「ヘソ」に見立てて、「ヘソイノシシ」とも呼ばれます。北アメリカ大陸南部から南米にかけて分布。アメリカ大陸の動物が3種いっしょに見られるようになったわけです。

 これまで、バイソンとペッカリーは放飼場に交互に出していましたが、ついに同居を開始。バイソンはとくにペッカリーを気にするようすもなく、いつもの(?)マイペースな表情ですごしています。クビワペッカリーは数頭から十数頭の群れでくらすそうですが、上野の3頭はたがいに離れず、いつも3頭で行動しています。

 同じ偶蹄目でも、ペッカリーはイノシシよりも小さく、四肢が細長いところが、外見上ちがいます。また、イノシシの上あごの犬歯は外側にのびますが、ペッカリーではふつうに下にのびるところも(外からはよくわかりませんが)相違点のひとつです。

 さらにもっと外からはわかりづらいちがいですが、ペッカリーの胃は反芻動物の胃に似た複雑なつくりをしているとのこと。また、ペッカリーはイノシシとはちがって、育児用の巣をつくりません。

 ちなみにアメリカでは、カリブ海の言葉に由来するペッカリーという呼び方よりも、スペイン語由来のハヴリーナ javelina という名前で呼ばれることが多いようです。

(2006年8月18日)



ページトップへ