先日、葛西臨海水族園前の「人工なぎさ」で、干潟にすむ生物の調査をおこないました。これは、環境省による自然環境保全基礎調査、いわゆる「緑の国勢調査」とよばれているものの一環で、日本全国で自然環境がどうなっているかをしらべ、環境をまもるのに役立てるための調査です。
人工的に作られたなぎさも15年以上が経過し、カニや貝など、さまざまな生物が生息していることがわかっています。なかでも、自然生態系保全のため、人の立ち入りを禁止している東なぎさではトビハゼが確認されました。
トビハゼは泥の干潟にすむ体長10センチもない小さな魚で、生息地である干潟の減少とともに個体数が減り、東京湾奥部のトビハゼは絶滅のおそれのある地域個体群として、国のレッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物種のリスト)にものっています。
このトビハゼは、行動がおもしろくて、活動している時間のほとんどを水の上ですごします。胸びれをつかって干潟の上をはいまわり、ときどきみごとなジャンプも見せます。
干潟に潮がみちてくると、まるで水がきらいとでもいうように、水のない高いところへ移動していきます。
しかし、トビハゼも魚のなかま。ずっと水の上にいると、体や眼ががかわいてきます。眼がかわいたらどうするでしょう?
こたえは簡単。わたしたちとおなじで、まばたきをするのです(写真)。といっても、トビハゼにまぶたはありません。じつは、頭の上に出っぱっている眼を、一瞬引っこめるようにするのです。そのようすは、まるでまばたきをしているようで、とてもユーモラスです。
じゃあ、体がかわいたら?──それは水族園に展示されているトビハゼを観察してみてください!
〔葛西臨海水族園調査係 三森亮介〕
(2003年07月25日)
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