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アイアイ、2世誕生!──上野 7/18

 2001年10月、マダガスカルのツィンバザザ動物園から上野動物園にやってきたアイアイ。今月、待望の赤ちゃん(メス)が生まれました!

 アイアイのすむ熱帯林は破壊がつづいていて、生息域もせばまるばかりといわれています。ツィンバザザ動物園ではアイアイの繁殖にとりくんでおり、繁殖した8頭のうち、ひとつがいが日本に送られてきました。

 日本でアイアイを飼育しているのは上野動物園だけ。2002年12月24日には、日本で初めての出産がありました。生まれた赤ちゃんは、残念ながら、12月28日に頭蓋骨骨折で死亡。今回は2度目の出産です。

 母親はソア(推定5歳)、父親はマミルア(推定10歳)。2003年1月31日と2月1日に交尾行動を確認しています。3月10日、メスに発情がなく、妊娠の可能性あり、と判断しました。
 4月26日にはメスのわき腹がはってきたのを確認。6月13日には体重増加がいちじるしいことから、妊娠の可能性大と考え、6月16日には出産にそなえて雌雄をわけて飼育するようにしました。

 その後、ビデオカメラでモニターをしながら出産を待っていたところ、7月9日についに!
 この日は、メスが巣箱から出てくるのが遅く、ようやくすがたを見せたのは午前9時50分ごろでした。警戒するような声を出すので、巣箱の中を確認したところ、赤ちゃん発見。「キュッ、キュッ」という子どもの鳴き声が聞こえたのは、10時50分ごろでした。ばんざ~い!

 ところが、母親はときおり子どもを床に落としてしまうのでした。もちろん床にはクッション用に木くずをしきまくってあるのですが……。そこで出産翌日の7月10日、赤ちゃんをすばやく動物病院にうつし、ミルク(ヒトの赤ちゃん用)をあたえました。
 病院で体重をはかり、レントゲンをとり、哺乳し、また体重をはかり、いそいで巣箱へ! このときの体重は約85グラム、体長11センチ、尾長13.5センチでした。

 この日は、もう一度病院に運ぶことになり、心配する場面もありましたが、母親が巣箱に入った午後6時ごろ、ふたたび赤ちゃんを巣箱に戻しました。
 出産直後の動物は神経質なのが当然。そこで、アイアイ舎の付近も、なるべく静かにするよう、環境をととのえたところ、母親もすこしおちついたようすです。
 子どもは母乳で元気にそだっています。7月16日には体重 136グラムになりました。

 現在、メスの飼育舎前面は黒いカバーがしてありますので、母子のようすを見ることはできません。オスは公開しています。霊長類とはいえ、サルらしくはなく、コウモリのような耳、リスのようなしっぽなど、じつにふしぎな動物です。門歯がどんどんのびるなんて、あなた齧歯類? しかも第3指だけが、ひょろっと長く、木の内部から虫を引きだして食べるのです。
 子どもが巣箱から出てくる10月ごろには公開の予定です。デビューまで、もうしばらくお待ちください!

・写真はいずれも2003年7月10日撮影。いちばん下は、モニター画面で観察しているところ。

・東京ズーネット「どうぶつ図鑑」のアイアイ

・東京ズーネットBB、アイアイの動画はこちら(出産以前の撮影です)



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