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アジアゾウ「アーシャー」の帰還──上野 2005/12/02
 先週おしらせしたとおり、アジアゾウのアーシャーが、2005年11月28日に横浜市立金沢動物園から上野動物園に帰ってきました。

 アーシャーは2002年5月13日、繁殖をめざして金沢動物園に旅立ったのですが、残念ながら成功しませんでした……。

 移動にあたって、何日も前から職員が横浜に出向き、準備を進めてきました。前日は泊まりこみ、早朝から作業開始です。東京動物園協会のカメラマンも前日から現地入り。ゾウの輸送箱は、高さ3.1メートル、幅2.3メートル、長さ5.8メートル。箱だけで4.7トンの重さがあります。これを、クレーンなどの重機を使って、前夜から搬入しました。

 11月28日早朝の金沢動物園。上野の職員につれられて、アーシャーは輸送箱に向かいます。アーシャーは、ほぼ問題なく、箱に入ってくれました。体が全部入ったら、お尻側のドアを閉めるのですが、ドアの内側には、しっかりと太い鉄パイプを2本、横にわたします(ウマではないのですが、この仕切り棒を、「ませんぼう」[厩栓棒、馬柵棒]と呼んでいます)。輸送箱はトレーラーに積み込まれ、一路上野へ。

 上野動物園の旧正門に到着したのは、午後1時30分ごろでした。大きなクレーンを使い、別のトレーラーへ慎重に積みかえたりしながら、そっと園内を移動。重機の操作や、高いところでの作業は動物園の職員ではできないので、その道のプロが手際よく進めていきます。

 輸送箱を放飼場の門につけるかたちでおろしてから、ドアを開け、アーシャーを出してやります(もちろん、ませんぼうもはずします)。アーシャーが旅立ったのが2002年5月、あたらしい放飼場が完成したのが2004年4月。

 懐かしのゾウ舎もなく、あらたな広い放飼場に足を踏み入れたアーシャーの心境はわかりませんが、落ちついたようすで放飼場内を歩き、屋内の寝室に入っていきました。アーシャーが放飼場に入る前から、スーリヤかウタイの鳴く声がゾウ舎内から聞こえてきましたが、この反応はさて……?

 アーシャーが帰ってきてから今日で4日。すこし緊張ぎみながら、落ちついて過ごしているとのことです。まだ、ほかの個体といっしょに外に出すことはしていませんが、放飼場の近くまで連れていくと、放飼場の中にいるダヤーと鼻と鼻で触れあったりしています。その触れあうようすも、徐々に緊張がとけるように、親しさを増しているそうです。

 おそらく来週には、他の個体といっしょにいるアーシャーのすがたが放飼場で見られるはず。ウタイとは初対面。アーシャーはふたたび「お姉さんぶり」を発揮してくれるでしょうか。

写真上から:
・金沢動物園でのアーシャー。後ろはオスのボン。
・上野動物園の職員に連れられて、ゾウ舎を出る。
・アーシャー、輸送箱へ。
・輸送箱を前から見たところ。
・トレーラーで磯子区を通過中。
・上野に到着。クレーンで放飼場近くにおろします。
・はじめての放飼場に足を踏み入れたアーシャー。

(2005年12月2日)



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