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ヘビにちなんだ「しおだまり」の生きものたち
 └─葛西 2025/01/10
 新年あけましておめでとうございます。今年の干支は「巳」(ヘビ)ということで、葛西臨海水族園「渚の生物」エリアの「しおだまり」コーナーで見られるヘビにちなんだ生きものをご紹介します。ここには関東近辺の磯の潮だまりで見られるいろいろな生きものを観察したり、さわったりできる水槽が並んでいます。

 まずは「ヘビギンポ」です。名前にヘビと付きますが体は細長くありません。そんなヘビギンポですが、口先がとがっていて物陰から顔だけを出しているさまが、なんとなくヘビに見えませんか? 水槽内では、垂直に立った岩にも器用に体を固定させ、物陰からきょろきょろと周りを見回している姿をよく目にします。みなさんもこの魚のヘビに見えるポイントを観察してみてはいかがでしょうか。


ヘビギンポ

 続いては「ニホンクモヒトデ」です。名前に「クモ」は入っていますが、ヘビはどこなの?と思った方もいるかもしれません。じつは学名の中にヘビが隠れています。”Ophiuroidea”がクモヒトデ綱の学名で、「Ophis=ヘビ、ura=尾、oid=のような」という意味なのです。

 クモヒトデの特徴である細長い腕をヘビに見立てられたことが由来であり、クモヒトデのなかまは「蛇尾類」と呼ばれています。水槽の中のクモヒトデは夜になると活発に動きますが、日中は物陰に隠れて腕だけを外側に伸ばしているところが見られます。この細長い腕が少しずつヘビの尾に見えてきましたね!


ニホンクモヒトデ

 ここまでヘビにちなんだ生きものを紹介してきましたが、「しおだまり」コーナーで見た目が一番ヘビっぽい生きものは「ウツボ」だと私は思います。名前はヘビと関係ないのですが、胸びれと腹びれがなくにょろにょろとした姿や、歯が鋭いところなどが似ていて、ヘビが苦手な方はウツボもあまり好きではないかもしれません。しかし小さな丸い目や、ヘビとは違う表面に鱗がなくムチムチとした分厚い皮膚で覆われた体を間近で見てみると、少しは魅力に気がつけるかもしれません。


ウツボ

 ぜひみなさまもヘビと似た見た目や、名前にヘビが入っている生きものを水族園で探してみてください!

〔葛西臨海水族園飼育展示係 坂本滉太郎〕

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