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コアラ40周年記念イベント 親子向けプログラム「コアラのひみつ 調査隊!」の準備と当日のようす
 └─多摩 2024/11/29
 多摩動物公園では、コアラの飼育開始から今年で40年を迎えることを記念し、「コアラ40周年記念イベント」を開催しました。その一環として、2024年10月27日におこなった親子向けプログラム「コアラのひみつ 調査隊!」の準備や当日のようすをご紹介します。

 親子向けプログラムの準備は、まだ暑さが厳しい8月から始まりました。対象は小学生とその保護者の方とし、かわいいだけではないコアラの魅力やユニークな生態、そして生息環境の現状や保全について知ってほしい、という思いからプログラムを検討していきました。

 小学校低学年から高学年まで、どの学年の子どもたちにもわかりやすく、飽きさせないようなくふうをしました。集中力にも差があるため、ただ話を聞くだけではなく、標本をさわる体験やアクティビティを盛り込むことで、より強いインパクトを与えるように内容を検討しました。


ぬいぐるみや標本

 アクティビティでは、子どもたちに積極的な参加を促せるかという不安もありました。緊張をほぐし、参加者の一体感を高めるため、まずは「コアラを探せ」という簡単なクイズをおこないました。ユーカリの木の上にいる野生のコアラの写真を提示し、コアラを見つけたら手を挙げて答えを発表するというものです。


クイズに積極的に参加する子どもたち

 最初はコアラがすぐに見つけられるような簡単なクイズから始め、段々と難易度をあげていきました。最後は高い木のどこにコアラがいるのかパッと見ではわからないような写真を提示しました。「え~。難しい!」という声をあげながらも、しっかりとコアラを見つけており、子どもたちの観察力には驚かされました。


コアラのえさのユーカリ

 コアラ飼育担当者によるコアラの説明では、いろいろな標本の匂いを嗅ぐ体験を要所に導入しました。事前にユーカリを大量に集め、会場内にはユーカリの匂いが立ち込めていました。コアラのえさとなるユーカリのうち三種類の匂いを嗅ぎ分け、正解のユーカリをあてるクイズをおこないました。なかなかユーカリの匂いを嗅ぎ分けられるヒトは少なく、正解率は低かったように感じますが、コアラの匂いを嗅ぎ分ける能力を体感できたのではないでしょうか。

 えさのユーカリだけではなく、フンや尿、オスの臭腺から出る分泌物も用意しました。穴を開けたタッパーを軽く押し、中から匂いが充満した空気が噴出するというものです。「ワー!」「キャー!」と言いながらも、楽しそうに臭いを嗅いでおり、保護者の方も子どもたちと同様に「臭い」「思ったよりもいい匂い」「ユーカリの匂い」という意見が分かれる結果になりました。

匂いを嗅ぐ体験用のサンプル
フンの匂いを嗅ぐ

 子どもたちと保護者の方でいっしょにおこなうワークショップでは、保護者がユーカリ役、子どもたちがコアラ役を演じ、コアラの生息地が減少している現状を体験しました。コアラの森が切り開かれ、道路や牧場、民家ができることでユーカリが失われ、コアラの個体数が減少しています。また、交通事故や山火事によって多くのコアラが負傷し、動物病院へ搬送される状況も再現しました。ワークショップのあとには、私たちの暮らしの中で、コアラを守るためにどのような取組みができるのかを紹介しました。


ワークショップのようす

 今回のプログラムを通し、生態や形態、生息地での現状など、かわいいだけではないコアラの新しい一面を知っていただけたらうれしいです。教育普及係では、年間を通してさまざまなイベントをおこなっています。ぜひみなさまも今後のプログラムにご参加ください。

〔多摩動物公園教育普及係 田村〕

(2024年11月29日)


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