日本各地の池や川、田んぼや水路で見られるアメリカザリガニ。「ザリガニ釣り」をして遊んだり、家や学校で飼育したりしたことがある人も多いでしょう。身近な水辺の生きものとして親しまれてきたアメリカザリガニですが、その名のとおり、北アメリカから人の手によって日本に連れてこられた外来生物です。
アメリカザリガニといえば、真っ赤な体に大きなハサミが特徴ですが、小さいときはうす茶色の体でハサミも小さいため、近所の川などで見た小柄なザリガニが、アメリカザリガニだとは気づかない人もいるようです。

アメリカザリガニの子ども。小さいときは体の色はうす茶色でハサミも小さい
アメリカザリガニは雑食性で、水生昆虫や水草などなんでも食べてしまうため、多くの生きものに影響を与えます。また、卵や孵化した子どもを母親が腹に抱いて保護し、成長も早いため、急激に数が増えることがあります。一度池などに入ってしまうと、その後数年のうちに、水草や水生昆虫の多くが絶えてしまうといわれています。
このような影響が各地であきらかとなり、2023年6月1日、アメリカザリガニはアカミミガメとともに条件付特定外来生物として規制されることになりました(詳しくは環境省ホームページを参照:
2023年6月1日よりアカミミガメ・アメリカザリガニの規制が始まりました!)。
生きものに興味をもち、生きものがくらす環境に関心をもつようになるには、実際に生きものとふれあうことが大切です。メダカやイモリ、カエルなどかつて身近にいた水辺の生きものが少なくなった現在、アメリカザリガニは子どもたちが簡単に採集や飼育ができる数少ない水生生物です。
子どもたちが最初にふれあう生きものがアメリカザリガニだとしても、今はしかたがないことかもしれません。しかし、アメリカザリガニが条件付特定外来生物であることや、引き起こされる深刻な問題について、十分理解しておくこともまたとても大切です。
井の頭自然文化園水生物館では、
特設展示「身近な外来生物 アメリカザリガニ」を2024年10月27日(日)まで開催しています。この機会にぜひ、アメリカザリガニのことを知ってください。
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特設展示場のようす | アメリカザリガニが侵入する前と後の池のようすを イメージした水槽 |
〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 児玉雅章〕
(2024年09月03日)