上野動物園、多摩動物公園、葛西臨海水族園、井の頭自然文化園では、動物園や水族園の生きものをテーマにした研究レポートを毎年、募集しています。多様な生きものを飼育、展示している動物園・水族園は生きものを実際に観察し、その不思議を探究する場としてとても適しています。今回も多くの中学生・高校生の方にご応募いただきました。
ご応募いただいた研究レポートのなかから中学生部門2作が年間最優秀賞作品に、中学生部門4作が年間奨励賞に決定しましたので、以下のようにお知らせします。本年の高校生部門の入賞作品は該当ありませんでした。
年間最優秀作品 2点(敬称略)
「ウミガラス・エトピリカとペンギンの泳ぎ方の違い」
岡﨑智香(中学1年生 東京女学館中学校)
研究レポートの内容はこちら(PDF)
ウミガラス
【選者コメント】
葛西臨海水族園での観覧で感じた海鳥(ウミガラス・エトピリカ)とペンギンの泳ぎ方の違いについての疑問を、①2パターンの鳥類の遊泳行動を詳しく観察する、②違いを生む理由を予測する、③先行研究を確認し、仮説を検証考察する、という研究者が行うプロセスに沿って解決した。水族園での観察では、遊泳行動の特徴を画像を使って科学的に報告し、不足する形態学的な情報を文献で補い、翼の形状だけでなく、遊泳行動に関係が深い浮力に関わる体密度も調べ考察していた。今回のレポートを発展させられる多くの疑問が残っているようなので、これからも水族園での観察を続け、フィールドでの調査にも挑戦してほしい。
「アカシュモクザメの泳ぎ方の謎に迫る」
浜田こと望(中学2年生 練馬区立豊玉中学校)
研究レポートの内容はこちら(PDF)
アカシュモクザメ
【選者コメント】
葛西臨海水族園で行われたクロマグロをはじめとする魚類の泳ぎ方についてのレポートは今年も多くの応募があった。その中で、このレポートは、空中を飛ぶ飛行機と水中を泳ぐアカシュモクザメの形態と機能を比較して、アカシュモクザメの泳ぎ方の特徴を端的にまとめていた。人が発明した飛行機の機能をアカシュモクザメに見つける手法であったが、反対に、自然が生み出した形、そしてその機能を人が応用して実用化しているものも多い。今後、アカシュモクザメにより近い形をした飛行機が開発されるかもしれない。私たちのくらしに役立てている自然が生み出した様々な工夫を動物園や水族園で探すことは面白い観察テーマである。
奨励賞 4点(敬称略)
「その瞳、四角いのはナゼ?」
山下小乃葉(中学1年生 青山学院中等部)
「上野動物園のスマトラトラの行動観察」
𫝆城菜々(中学1年生 東京女学館中学校)
「あかぽっぽの観察」
髙橋愛莉(中学2年生 聖徳学園中学校)
「コウイカ~海中のFashion Model~体の色を変える秘密」
田村宗資(中学1年生 青山学院中等部)
なお、本年も「動物園・水族園レポートチャレンジ」研究レポートを募集しています(
2024年の募集について)。生きものを観察するヒントや、レポートのまとめ方などに関する質問があれば、Eメールでご相談ください。学校の課題でご応募いただく場合もサポートいたします。
問い合わせ先Eメール:edu-center@tzps.or.jp
(2024年03月26日)