10月24日は、
「国際テナガザルの日(International Gibbon Day)」です。
絶滅の危機に瀕しているテナガザルについて、世界中の多くの人々によく知ってもらうことを目的に、IUCN(国際自然保護連合)が組織する小型類人猿チームにより2015年に制定されました。
テナガザルは、東南アジアを中心とした地域の森林に生息している、名前のとおり長い前肢が特徴的な類人猿です。ゴリラ、オランウータン、チンパンジーを大型類人猿というのに対し、テナガザルは小柄なことから小型類人猿と呼ばれています。
テナガザルのなかまは大きく4属のグループに分かれており、当園ではテナガザル属の一種であるシロテテナガザルを飼育しています。シロテテナガザルは、前足・後ろ足の甲や顔の周りに白い毛が生えているのが特徴です。

なが~い手(前肢)が特徴
シロテテナガザルはインドネシアやマレーシア、タイなどの熱帯雨林に生息しており、高い木の上で生活しています。移動するときには枝などにぶらさがり、振り子のような動き(ブラキエーション)をします。
【動画】ブラキエーション

もちろん寝るときも高い場所。ある日の寝姿。
テナガザルのなかまは、オスとメスが鳴き合う「デュエット」と呼ばれる音声行動も特徴です。縄張りの防衛や夫婦間の絆を強めるといった機能があると言われています。
【動画】デュエット ※音量にご注意ください
デュエットの動画ではじめに鳴いているのはメス、最後に鳴いているのがオスです。
シロテテナガザルのデュエットは雌雄でパートが分かれており、メスのパートでいちばん盛り上がる部分を「グレートコール」と呼びます。メスのグレートコールが終わると、オスは「コーダー」と呼ばれる鳴き声で返事をします。
現在、テナガザルのなかまはすべて絶滅危惧種に指定されています。その原因のひとつは、アブラヤシの大規模農園(プランテーション)の建設を目的とした森林の伐採です。アブラヤシからとれるパーム油は、加工食品や洗剤など日本人の生活の中でもたくさん使われています。遠い国の話のように感じますが、実は私たちの生活からも大きな影響を受けているのです。
国際テナガザルの日をきっかけに、私たちに何ができるのか考えてみませんか?

みなさんは知っていましたか? 森林伐採の理由
(2021年10月24日)