2016年11月、多摩動物公園の昆虫生態園出口付近(ダンゴムシ展示のとなり)で「ブラーミニミミズヘビ」の展示を始めました。
「ミミズヘビ」という名を聞いて、どんな姿の生き物を想像しますか? 長さ20センチ前後の小ささで体は細く、まるでミミズか針金です。こんな生き物がいると知らなければ、これがヘビだとはまず思わないでしょう。目はあるけれど目立たず、どちらが頭か尾かもじっくり見なければわかりません(よく見ると尾の先はとがっています)。
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ブラーミニミミズヘビ | 展示のようす |
しかし、体にはちゃんとうろこがあり、舌をチョロチョロ出しながらえさを探すようすは確かにヘビです。土の中でくらし、シロアリやアリなどを食べています。多摩動物公園ではシロアリを与えており、タイミングがよければ、小さな口でパクっと食いつく姿が見られます。
【動画:シロアリを食べるブラーミニミミズヘビ】
おもしろいことに、シロアリの頭を食べるのは嫌なのか、体に食いついた後、じょうずに頭だけ残します。食べた後、シロアリの頭だけがゴロゴロと残っているので、どれだけ食べたか一目瞭然です。
また、ヘビの中で唯一、メスだけで繁殖するという興味深い生態を見せます。今のところオスは見つかっていません。
ミミズヘビは外来種です。南西諸島や小笠原諸島、鹿児島県、静岡県の一部などに定着しているようです。世界中に分布していますが、原産地がどこかわかりません。観葉植物などの輸出入時に紛れ込んで生息範囲を広げたのではないかといわれています。多摩動物公園で展示しているミミズヘビも、生態園内の植木鉢の中から発見されました。
土の中で生活する生き物ですが、展示を見やすくするため、園芸用の「オアシス」(吸水性が高く、挿し木の床材として利用される素材)に溝を掘り、その中に入れて展示しています。百聞は一見にしかず。ミミズのようなヘビの姿を多摩動物公園の昆虫生態園でごらんください。
〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 佐々木愛子〕
(2016年11月18日)