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ニホンスッポンの展示一新
 └─上野  2014/04/04

 上野動物園両生爬虫類館(ビバリウム)の「国産展示場」では、このたびニホンスッポンの水槽を一新し、みなさんにより一層親しんでいただけるような展示になりました。

 ニホンスッポンは国内では北海道以外の日本各地の河川や池に生息しており、「雷が鳴っても離さない」という例えや「月とスッポン」という諺もあるくらい、私たち日本人には馴染みの深いカメです。しかし、そのわりには形態や生態の特徴をご存知でない方も多いのではないでしょうか?
 じつは上野動物園に間近な不忍池でもスッポンの目撃情報が多々ありますが、みな口を揃えて「人の気配がしたらすぐに池に入ってしまう」と言います。もともと臆病な性格のスッポンは身近にいても、じっくりと観察ができるほど姿を見せてはくれないようです。

 スッポンの大きな特徴として甲羅のつくりが挙げられます。一般的なカメの甲羅は、骨の層の上に角質の層が重なった二層構造でできていて、とても硬くなっています。一方、スッポンの甲羅は骨が柔らかい皮膚で覆われていて表面には模様がなくツルツルしています。

 また、ほとんど水の中で生活するスッポンは、その環境に適応した体の作りをしています。たとえば、泳ぐ際に水の抵抗を少なくするための平たい背中の甲羅(背甲)、水に潜ったまま姿を見せずに呼吸ができるシュノーケルのように尖った鼻先、逃げるときに推進力を生む大きく発達した水かきなどです。

 一新した展示水槽では、ニホンスッポンの愛嬌ある顔立ちや容姿だけでなく、水中で泳ぐ姿や体の特徴などをいつでも間近でごらんいただけます。上野動物園に来園された際には、ぜひ両生爬虫類館にお立ち寄りください。

写真上:ニホンスッポン
写真下:独立して間近に見やすくなった展示水槽

〔上野動物園両生は虫類館飼育展示係 川崎繭〕

(2014年04月04日)



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