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海底に落ちたうどん?ナマコの不思議
 └─葛西  2014/02/21

 葛西臨海水族園東京の海エリアの「伊豆七島の海4」水槽では、ときどき白い砂の上にちぎれた白いうどんのようなものが落ちていることがあります。だれかが昼食のうどんを水槽に落としたのでしょうか。

 じつは、これはバイカナマコというナマコのウンチです。ウンチといってもほとんどは砂です。ナマコのなかまは、口の周りに付いている触手を使って砂をかき集めて食べています。食べた砂がお腹の中を通るうちに、砂の中の小さな生物の死骸や藻類などの有機物は消化されて栄養になり、残った砂がお尻から出てきて、先ほどの「うどん」になるのです。

 自然の海でも、ナマコのなかまはこのようにして食事をしながら砂地をきれいにしているので、ナマコのウンチは生息している場所の砂と同じ色をしています。白い砂の上にいるアカミシキリのウンチは白っぽく、灰色っぽい砂の上にいるマナマコのウンチは灰色です。

 水族園の展示水槽の多くでナマコが底砂の掃除に活躍しています。ナマコの種類によってはうどん状ではなく粒状のウンチをするものもいます。

 ナマコ以外の生き物のウンチを、水槽の中で見る機会はあまり多くはありません。たいていは水に溶けたり、砂に混じってわからなくなったりします。ナマコは肉眼ですぐにウンチがわかる数少ない生き物のひとつかもしれません。水族園の水槽でナマコのウンチを探して、色や形などを比べてみましょう。

写真上:バイカナマコと赤い矢印はそのウンチ
写真下:マナマコとウンチ

〔葛西臨海水族園飼育展示係 浅野晃良〕

(2014年02月21日)



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