葛西臨海水族園東京の海エリアの「アマモ場」水槽では、現在アメフラシを展示しています。しおだまりなどの浅い海でよく見かける子どもに人気の生物ですが、海水浴シーズンの夏に見ることはありません。
じつはアメフラシは、水温が上昇する夏の前に産卵し、その後死んでしまいます。卵から孵化したアメフラシの幼生は、海を漂いながらプランクトンとして生活した後、秋に浅い海で見かけるようになります。そのため秋から春がアメフラシ観察のベストシーズンといえます。
アメフラシは、海藻類やアマモなどの海草類を食べるため、飼育するときは、通常餌としてワカメを与えています。
「アマモ場」の水槽では、アマモや数種類の海藻が生えており、アメフラシはそれらを食べているため、餌は与えていません。
アメフラシの展示を開始した当初、水槽内に生えていた特定の海藻を食べ始めましたが、あっという間に食べ尽くしてしまい、次にアマモを食べ始めました。砂地に落ちているアマモの「落ち葉」を食べていることもあれば、生えている新鮮なアマモをかじっていることもあります。
せっかく展示しているアマモがなくなってしまうのでは、と心配にもなりますが、今のところ、アメフラシがアマモを食べるスピードは、アマモが新たに生えるスピードよりも遅いようで、減ってしまうようすはありません。また、適度に食べてもらった方が、担当職員が潜ってアマモを間引く作業の助けにもなり好都合なので、しばらくは、そのまま食べ続けてもらう予定です。しかし、自分の周りにあるアマモを適当に食べているため、こちらの思ったように食べ進んでくれないのが「たまにきず」です。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 中村浩司〕
(2014年01月11日)
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