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エゾシカ「Q」の角が落ちました
 └─上野  2013/04/26

 2013年4月17日の開園直後、上野動物園東園エゾシカ舎で、エゾシカ「Q」(キュー、オス、2歳)の右角が落ちました。そして翌日18日の朝には左角も落ちました。

 角のあるシカのなかまは、毎年角が生えかわります。古い角が落ちた後、ビロード状の皮膚に覆われた角(袋角)が生えます。この袋角の中には、細かい血管が張り巡らされており、その血液によって運ばれた栄養で角が伸びていきます。繁殖期の前になると、角の成長が止まって骨のように硬くなり、皮がむけて新しい角が完成します。完成した角は、繁殖期が終わるころに落ち、また新しい角が生える、という周期を繰り返します。

 種類や個体、年齢などによって落ちる時期や袋角が生える時期などは多少異なりますが、エゾシカの場合、だいたい3月から5月ころにかけて落角し、すぐに袋角が生えます。

 昨年のQはまだ1歳と若く、角も小さかったためか自分の角が落ちたことに気づいていないようで、落角前後でとくに変化はみられませんでした。

 今年は、昨年に比べて立派な角が生え、同居しているニホンカモシカのナギ(オス、4歳)が近づくと、角を軽く振って追う行動が見られ、階段状となった放飼場の最上段にいることが多く強気な態度でしたが、角が落ちた瞬間弱気な行動を見せ、放飼場の一番下の隅で座っている時間が多くなりました。

 ナギとQの関係も、落角前後で立場が逆転し、ナギがQを追うこともあります。角の成長によって行動も変化するようです。Qの袋角も、今後ますます大きくなっていきます。ぜひ、ご注目ください。

 なお現在は、Qのようすを見ながら、寝室の出入りを自由にしているため、見えづらくなることがあります。あらかじめご了承ください。

写真上:角があるとき(2013年01月16日撮影)
写真下:右角が落ちたとき(2013年04月17日撮影)

〔上野動物園東園飼育展示係 宇野なつみ〕

(2013年04月26日)



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