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春を告げる小さなオタマジャクシ
 └─葛西  2013/03/22

 今年の冬は例年よりも長く感じましたが、急に寒さがやわらいできた気がします。今回は、春が近づき始めたこの時期に繁殖するアズマヒキガエルを紹介します。

 アズマヒキガエルはガマガエルとも呼ばれ、体長10センチ前後になる比較的大型の茶色いカエルです。家の庭先や住宅地の公園などに姿を現すこともあり、都会でも身近な存在かもしれません。 

 葛西臨海水族園の水辺の自然エリアでは、2013年2月末から親ガエルたちが繁殖のために集まり始め、3月7日に産卵を確認しました。それからさかのぼることちょうど1か月前の2月7日には、屋内で飼育しているアズマヒキガエルも産卵しました。飼育個体の繁殖は昨年に引き続き2年連続で、昨年同様、屋外より早く産卵が見られました。飼育室は屋外より暖かいので、春が来たのかと勘違いしたのでしょう。

 産み出された卵は、5日後に孵化し始めました。孵化したばかりのオタマジャクシ(幼生)の大きさは2センチ弱で、数日後に餌も食べ始め元気よく泳いでいます。梅雨が始まるころには、カエル(幼体)になって陸上で生活し始めることでしょう。カエルになったばかりの大きさは1センチ弱です。尾がなくなるので、オタマジャクシよりもさらに小さくか弱く見えます。

 体の大きさを中心に簡単に解説しましたが、やはり実物を観察するのが一番!水辺の自然エリアの「池沼」では、今年生まれのオタマジャクシ、去年生まれのカエルの幼体、成体を並べて展示しています。見比べれば大きさの違いは一目瞭然のはずです。

 また、家のまわりでもオタマジャクシを探してみましょう。そして、カエルになる姿に思いを馳せながら見守ってください。そのオタマジャクシが大きなカエルになって、来年も、その先も、春を告げに来てくれるはずです。

写真上:園内で生まれたヒキガエルの卵
写真中:孵化したオタマジャクシ
写真下:アズマヒキガエルの成体

〔葛西臨海水族園飼育展示係 齋藤祐輔〕

(2013年03月22日)



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