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動物たちの体重は?
 └─上野  2013/02/08

 みなさんは体の大きな動物を見て「あの動物はどれくらいの重さがあるのだろう?」と思ったことはありませんか。私たち飼育係も動物の体重は非常に気になります。体重は、動物たちに与える餌や薬の量を決めるための大切なものさしになるからです。

 小さな動物の体重は、人間が使う体重計に乗せて簡単に量ることができますが、大きな動物の場合はそうはいきません。

 上野動物園子ども動物園にいる在来馬、ラマ、アルパカ、ロバなども月に一度、みなさんが見ることのできない場所で体重測定をおこなっています。

 大きな動物の体重測定は、重い物を量るバースケールという機械を使います。その機械に板を乗せてから動物を乗せます。動物を乗せるといっても、警戒心の強い動物相手では簡単なことではありません。

 今担当者を困らせているのはミニブタのハルとユキです。これまで体重を量ったことがなかったため、体重計に乗るのを怖がります。ミニブタといっても人の力で押さえられる大きさではなく、また無理矢理乗せてしまうと、毎月の測定をいやがって難しくなります。そこで餌を使って誘導し、ベニヤ板に乗せる訓練をしました。薄いベニヤ板1枚から始め、2枚、3枚と重ねて、少しずつ目的の高さに登れるよう馴らしていきます。長時間の練習は逆効果なので、練習は1日20分ほどおこない、バースケールと同じ高さになるまで約2週間かかりました。

 練習の甲斐あって、前回の体重測定では簡単に体重計に乗りました。見た目はほぼ同じ大きさのハルとユキですが、ハルは77キロ、ユキは67キロで、10キロの差がありました。

 このように同じくらいの大きさに見える動物でも、実際に体重を量ってみるとかなり差がある場合があります。たとえば見た目はあまり差がないアルパカとラマの場合、ラマは170キロあるのに対しアルパカは50キロしかありません。

 見た目から体重を予測することは難しく、毎月の体重測定はとても重要です。

写真上:バースケール
写真下:バースケール上の板に乗ったミニブタ「ユキ」

〔上野動物園子ども動物園係 伊藤達也〕

(2013年02月08日)



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