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ずっと元気でいてね!チンパンジー「ミミーさん」
 └─多摩  2012/11/16

 先日、高齢動物のケアを取り上げた新聞記事に、多摩動物物公園のチンパンジー「ミミー」にコンドロイチンを与えていることが紹介されたところ、驚くほど多くの方々からお問い合わせをいただきました。その経緯について紹介します。

 ミミーは、多摩動物公園の開園当初からいるチンパンジーで現在推定年齢56歳です。チンパンジーの寿命は40〜50歳なので、ミミーがいかに長生きかということがおわかりになると思います。しかも、日本で飼育されているチンパンジー(2011年のデータでは328頭)のメスの中で最高齢のチンパンジーです。

 ミミーは、昔から足をかばうような歩き方をしていましたが、2011年1月以降、寒さで関節が痛むのか、左足の指先を地面につけずに歩くようになり、その後すぐ、両手を支えにして両足を前後に振って歩く「振り子歩き」をするようになりました。

 チンパンジー舎の構造上、寝室から外に出るためには、急な階段を4段降りなければならないのですが、ミミーは降りるのにとても時間がかかるようになりました。そこで、手すりのある部屋に移動させましたがあまり効果もなく、餌もほとんど食べなくなってしまいました。そこで急遽、2つある部屋の間のコンクリート壁を壊して扉を設置し、バリアフリーで行き来出来るように改善して、足の痛みが無くなるまで室内で過ごさせることにしました。長期間患うのではと心配しましたが、2月になりだんだん暖かい日もふえたころ、毎日外に出られるようになりました。この約2か月間は、痛み止めや漢方薬などを投与していました。

 幸い長期間にはなりませんでしたが、今後何もせずにいると毎年冬は室内だけで過ごすことになり、悪循環になる恐れがありました。そこで、積極的に屋外に出すとともに、関節痛を和らげる効果があるといわれる健康食品のコンドロイチン錠を、試しに与えてみようということになりました。

 2011年の寒さが増してくる秋にまた「振り子歩き」をするようになったため、すぐにコンドロイチンの投与を開始しました。すると、本格的な冬になっても、「振り子歩き」をすることなく毎日運動場へ出て行くことができました。ミミーが元気を回復したことにはさまざまな原因があると思いますが、チンパンジーにプラセボ効果(薬理作用のない薬を飲んで効果があるように感じること)が働かないとすると、コンドロイチンになんらかの効果があったのかもしれません。ただし今後、検証が必要です。  

 2012年も寒くなってきたため、ミミーへのコンドロイチン投与を再開しました。冬の寒い日には外に出ていないこともありますが、ぜひ元気なおばあちゃんのミミーに会いに来てください。

写真上・下:「ミミー」

〔多摩動物公園北園飼育展示係 清水美香〕

(2012年11月16日)



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