2012年7月中旬、お母さんのポケットから顔を出し始めていた多摩動物公園のシマオイワワラビーの赤ちゃん2頭は、9月初めには袋から出てきました。
シマオイワワラビーが来園したのは2012年3月30日ですが、そのときにはもう赤ちゃんは生まれて袋の中にいました。3月初めに袋の中に生まれたばかりの状態でいるのを確認したとのことですので、袋から顔を出すまでに約4か月、袋から完全に出てくる「出袋」(しゅったい)までに約6か月かかったということです。
多摩動物公園では、ほかにアカカンガルー、ケナガワラルー、パルマワラビーなどのカンガルー類を飼育していますが、それらの子どもと比べると、イワワラビーの子どもは袋から出たり入ったりする期間が、一番短いように思います。袋から完全に全身が出ているのを確認した日(出袋日)を誕生日として記録していますが、イワワラビー以外のカンガルー類では、出袋日以後も、しばらくは袋から出入りする様子が見られるのに対し、イワワラビーの場合は、出袋後数日にして完全に袋には戻らなくなりました。
出袋日以前にも、袋から脚だけ出ている場面を多く見ていましたので、じつは袋から出ていて、キーパーの気配に素早く袋に戻って「頭隠して脚隠さず」状態を見ていたのではないかと考えられます。
出袋した子どもは動きが非常に俊敏で用心深く、大人たちがのんびりしていても、子どもはすごい速さで岩の上を逃げて隠れてしまいます。岩場で生活する動物なので、複雑な地形を自力で逃げなければ生きていけないからなのかも知れません。
2頭の子どもは誕生日が近いので、見分けしやすいように最初に出てきた子どもの胸には黄色い印をつけました。少し大きく面長なほうが黄色、小さめで顔の模様のためかタレ目に見えるのが無印です。両方ともオスです。赤ちゃんというにはもうしっかりした感じに成長してきましたが、まだまだかわいい姿をぜひ探してみてください。
・
「シマオイワワラビーが仲間入り」(2012年04月27日)
・東京ズーネットBBの動画
「シマオイワワラビー」(2012年05月23日撮影)
写真上:黄色印のシマオイワワラビーの子
写真下:無印の子
〔多摩動物公園南園飼育展示係 永田典子〕
(2012年10月19日)