井の頭自然文化園では、アオノリュウゼツランがいよいよ花の終わりをむかえます。開花中は多くの来園者の方に楽しんでいただきました。問い合わせが非常に多かったので、最後にまとめをします。
・
「アオノリュウゼツランが開花しました」(2012年08月03日)
英名では「センチュリープラント」と呼ばれるこの花が数十年の時をかけ、この夏開花しました。日本ではトゲのある厚く長い葉を竜の舌にみたて、リュウゼツランと呼ばれています。
咲くまでの経過を振り返ると、株が直径約300センチ、高さ約100センチにまで充実した5月中旬に、葉の中心部から巨大なアスパラガスのような姿の花茎が出てきました。花茎は1日10センチのペースで成長し、7月に入ると少し落ちて6センチほどのペースで成長を続け、7月17日に全長790センチで成長を終え、7月28日に開花しました。
このリュウゼツランは、熱帯鳥温室がオープンした1962年に、入口入ってすぐの温室内のサボテン室に植えられていたものを、1994年の改修工事の際に外の大きなユーカリの木の下に移植したものです。同時に近くに植えられていたソテツの花も開花して、ソテツの花に興味をもたれた来園者も多かったようです。
アオノリュウゼツランの開花に向けて、花茎が伸びる勢いを感じていただくために、熱帯鳥温室の壁面に大きなメジャーをぶら下げ、高さがわかるようにしていましたが、開花直前に花茎が傾き始めました。
7月28日の開花以降、さらに花茎の傾きが大きくなり、8月8日に竹を利用して倒れ防止のための支柱を立てました。また、8月3日には、原因不明(おそらくカラスのいたずら)により、これから咲こうとする1本の枝が折れてしまいました。重さを量ると約 1.3キログラムでした。水にさして、来園者のみなさんに手に取って観察していただきました。
花茎の傾きの原因はいくつか考えられます。まず、つぼみの重さと花茎自体の重さです(花茎は直径12センチ、長さ690センチでした)。さらに毎日観察していると、土台となる株が日に日にやせていることに気付きました。葉に蓄えた養分を使い開花するというリュウゼツランの特徴を、目の当たりにしました。また株がやせ、今回開花した株の場所は池のふちだったこともあり、水上に葉をせり出し根を張れない部分もあったことも傾きの原因かと思われます。
下の枝から順々に上へ開花して、まもなく最上部の花も咲こうとしていますが、1番下の方の花はすでに咲き終えた姿になっています。花は、めしべが1本とおしべが6本あり、蜜は甘くハチやカメムシが集まります。すべての花を咲き終えると時間をかけて枯れていきます。花茎に関しては倒れると危険なため、後日切る予定です。
今週末が最後の見頃です! アオノリュウゼツランの最後の姿をごらんください。
写真上:アオノリュウゼツランの花
写真中:花茎
写真下:分解した花
〔井の頭自然文化園施設係 星野真一〕
(2012年08月17日)