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オシドリのひな、ようやく誕生
 └─井の頭 2012/07/20

 井の頭自然文化園では、2012年のオシドリの繁殖が遅れていたのですが、7月に入り、ようやくひなが誕生しました。

 オシドリ舎では、メス親がケージ内にある巣箱のなかで産卵し、卵を温めます。通常、産卵から約28日後にひなが生まれます。例年6月中にはひなが生まれていましたが、今年は4月2日に初産卵が見られたものの、抱卵(卵を温めること)を放棄する親が多かったり、一つの巣箱のなかで何羽ものメスが産卵してしまったりしたため、このまま繁殖なしで終わるのかと心配していました。

 その後、7月2日に1羽が孵化しましたが、親が面倒を見ないため、人工育雛に切り替え、現在も育雛室で飼育しています。続いて5日に5羽、11日に7羽が巣箱から出てきました。

 ひなは孵化後一日たつと歩くことができ、メス親の声に誘われて高い台に置かれた巣箱から、一気に池に飛び降ります。餌もすぐに食べ、メス親について歩いたり走ったりするかと思えば、池に入り泳いだりと機敏に行動しています。ときに単独で陸上を移動するときには、その機敏さが目立ちます。なぜなら、野生ではこの機敏さがなければ、たやすく外敵に襲われてしまうからです。

 一方メス親は、たとえ自分の子でなくても、ひなたちを一つの集団と見なしているようで、常にそばにいて見守っています。 11日生まれのひなは、まだ人間の子どもの握りこぶしくらいの大きさですが、5日生まれで大きいものは大人の握りこぶしくらいになっています。まだ当分薄黄色に茶色の縞模様というひな特有の色彩をしていますが、秋には親と変わらない姿になります。

 ちなみに、オスはすでに地味な色彩の夏羽に替わっていて、メスの産卵も6月中旬で終わっています。

写真上:オシドリのひな
写真中:餌を食べるひな
写真下:夏羽のオス(成鳥)

〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 池田正人〕

(2012年07月20日)



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