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ハガツオの搬入
 └─葛西  2012/07/13

 葛西臨海水族園では「大洋の航海者」エリアの「マグロ」大水槽で、クロマグロ、スマ、カツオ、ハガツオを展示しています。
 2012年6月下旬から鹿児島県南さつま市でハガツオを収集し、7月6日 111尾を「マグロ」大水槽へ追加しました。 

 ハガツオの収集は、定置網漁船に乗船しておこないました。 定置網漁は、定置網内に入ったさまざまな魚を、網を徐々に絞って捕まえます。ハガツオはクロマグロなどと同じように、皮膚が弱く、傷つきやすい魚です。そのため、ハガツオが網やほかの魚と擦れて傷つかないよう、網を最後まで絞りきる前に、ハガツオを手網ですくいとって採集しました。採集したハガツオは、海上に設置したイケスへ入れ、約1週間飼育しました。

 7月5日朝、ハガツオを水族園まで運ぶ作業の始まりです。ハガツオは、やわらかいビニール製のタモ網で、イケスから傷つけないよう海水ごと1尾ずつていねいにすくい上げます。そしてタモ網ごと人から人へ手渡しでトレーラー上の水槽へ積み込みました。

 ハガツオを積んだトレーラーは、鹿児島から高速道路を乗り継いで夜通し走り続け、翌朝水族園に到着しました。水族園では、マグロ類を移送するための専用のタンカを使い、再び海水ごと1尾ずつすくい上げ、タンカをもって人力で移動し、大水槽の上部から水槽内へ放流しました。

 放流直後、「マグロ」大水槽で大変珍しいことが起こりました。水槽に搬入したハガツオが群れをつくり、大水槽内を回遊し始めたのです。大水槽はドーナツ型をしていて、広く深い部分が2箇所に離れてあります。魚はふだんその広い部分の中で、それそれ2箇所に分かれて泳いでいますが、搬入したハガツオは、大水槽全体を使って回ったのです。

 100尾ほどの小さな群れが、数時間にわたって大水槽を回遊する行動は、長年マグロ・カツオ類を飼育・展示してきた水族園の職員でも初めて見る光景でした。しかし、残念ながら搬入日の夕方には、水槽全体の回遊をやめてしまいました。

 今回搬入したハガツオは、全長35センチ程度で、大水槽ですでに展示しているハガツオに比べるとかなり小さいため、ごらんになるとすぐに区別できると思います。早く大水槽の環境に慣れて、大きく成長してほしいと思います。

写真上:採集したハガツオをイケスに移動
写真中:採集直後のハガツオ
写真下:大水槽に搬入直後のハガツオ

〔葛西臨海水族園調査係 小木曽正造〕

(2012年07月13日)



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