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コシジロハゲワシが抱卵中です
 └─上野  2012/03/16

 上野動物園東園の猛禽舎では、コシジロハゲワシのペアが抱卵しています。2006年にこの2羽が来園してから初めてのことです。

 2011年12月12日に初めて交尾を観察し、その後も頻繁に見られました。

 コシジロハゲワシのいる展示舎には、オジロワシが同居しています。ほかの鳥がいるなかで落ち着いて繁殖できるのかどうかわかりませんでしたが、限られた環境の中でも、繁殖に向けてできるだけの準備をしておく必要があります。

 アフリカに生息するコシジロハゲワシは、アカシアなどの大木のてっぺんに巣を作ります。しかし、ここには、巣を作れるような大きな木はありません。そこで、手作りの巣台を作製し設置しました。麦わら帽子を土台にして太めの枝を組んで固定し、そこに枝をたくさん刺して巣台を作りました。これを一番高い場所である擬岩の上に設置しました。飼育担当者の力作ですが、気に入らなければ次の日に地面に落とされているかもしれません。

 ところが、12月31日にオスが巣台にとまり、巣の中の枝を整理しはじめました。2012年1月に入ると、舎内のネズミモチの枝を自分たちで折って運び始め、担当者が地面に置いた枝も拾ってどんどん巣に足していきます。どんな巣材が彼らの好みなのかがわからなかったので、太さや柔らかさ、長さの違う枝、葉のついた枝、乾草などを入れました。巣はだんだん大きくなっていきました。

 2月に入ると2羽の行動が変わりました。どちらか片方が、一日中巣に伏せるようになったのです。この日から交尾が見られなくなりました。

 コシジロハゲワシはオスとメスが協力して卵を温め、ひなを育てます。猛禽舎のコシジロハゲワシも、やはりオスとメスが交代で卵を温め、ほかの鳥を巣に近づけないように、2羽で協力してしっかり巣を守っています。

 抱卵期間は約56日です。順調にいけば、3月の終わりごろに卵がかえります。ハゲワシたちが安心して卵を抱けるように、静かに見守ってください。

〔上野動物園東園飼育展示係 高橋里子〕

(2012年03月16日)



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