上野動物園表門を入ってすぐ右側にあるキジ舎では、11種のキジ類と6種類のハト類を飼育しています。
キジ類は、繁殖期になるとオスがメスに対してさまざまなアピールをしますが、キジ舎でも毎年1月中旬ごろから夏にかけて、そのようすが頻繁に見られるようになります。少しご紹介しましょう。
まずは、キジ舎の真ん中にある一番大きい部屋で飼育しているマクジャクです。クジャクがきれいな羽を広げることはみなさんもご存じだと思います。広げるのはオスだけで、尾羽の上側にある「上尾筒」(じょうびとう)という部分の羽を目いっぱいに広げ、メスに見せつけ気を引こうとします。また、繁殖期になると、オスは自分のテリトリーを守ろうと部外者に対して攻撃的になるので、慣れているはずの飼育担当者でも容易には近づけないほど凶暴です。
オスが羽を広げることが多いのは、気温が比較的低く静かな時間帯なので、朝方や夕方にぜひ観察してみてください。
次に紹介するパラワンコクジャクは、全長約50センチしかない小さな鳥ですが、クジャク同様、きれいなエメラルドグリーンの斑もようが特徴の上尾筒をもっています。繁殖期になると、オスはメスに近づき、「ジージー」という鳴き声を上げながら、羽を広げます。
ヤブツカツクリは、その名の通り「塚」を作り、その中の落ち葉が腐るときに出る発酵熱で卵を孵化させるというユニークな特徴をもつ鳥です。繁殖期には、オスの「肉垂れ」といって首の周りにある黄色い皮膚の部分が徐々に肥大し垂れてきます。そして、太い脚で落ち葉や土を必死にけり上げ、直径約4メートル、高さ1メートルの大きな塚を作ります。この塚を作るようすを「こんなに立派な塚を作れるなんてすごいだろう!」とメスに見せつけるのです。
繁殖期のこの時期にしか見られないオスのキジたちのがんばりを、見に来てください。
写真上:羽根を広げるマクジャクと
写真下:パラワンコクジャク
〔上野動物園東園飼育展示係 阿部展子〕
(2012年03月09日)
|