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上野動物園小獣館では、地下の夜行性動物の展示フロアで、トビウサギとショウガラゴを同居させている部屋をリニューアルしました。工事のためごらんいただけなかったトビウサギも展示を再開しました。
トビウサギとショウガラゴはともにアフリカのサバンナに生息しています。トビウサギは地面に巣穴を掘って休息し、活動時はカンガルーのようにピョンピョン飛び跳ねて移動します。ウサギのような大きな耳をしていますがネズミのなかまです。
ショウガラゴは原猿類の一種で、主に樹上でくらし、得意の跳躍で枝から枝へ素早く飛び移ることができ、主に虫などを捕まえて食べる小型のサルです。
以前の部屋は、壁の内側に強化プラスティック製の擬岩がついていて、そのため室内がデコボコして動物の行動スペースが狭められていました。また、擬岩に穴があき、ショウガラゴが中に入ってしまうこともありました。
そこで、この擬岩をすべて取り払い、コンクリートの土台のみのシンプルな部屋に改造しました。そして園内で剪定した木を壁に取りつけ、空間の上半分にはさらに枝を渡し、ショウガラゴが休む巣箱も設置しました。
一方、地上はトビウサギの巣箱だけにして、広く使えるようにしました。そのほかにも、壁の色をグレーにして暗い照明でも動物の姿がはっきりわかるような工夫も施しました。
小獣館の展示室は、ほとんどが岩棚になっているため、環境が単調で、種ごとの生息地を表現するのが難しい、という問題点がありました。今回のリニューアルでは、ほかの展示室と背景が異なることで来園者の目を惹きつけるとともに、サバンナの疎林のイメージに少しでも近づけたいと考えました。また、移動空間を広くしたことで、トビウサギとショウガラゴそれぞれのジャンプする姿を、より強く印象づけられればと思います。
今回の工事にはサポーターのみなさんからいただいたサポーター資金を活用しました。この場を借りてお礼申し上げます。
〔上野動物園西園飼育展示係 森久保秀〕
(2012年02月10日)
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